「うわぁっ!」

 休日とはいえ昼ごろまで寝ているカカシを起こそうと「はたけさーん」と呼ぶと、あっという間に引きずり込まれてカカシの腕の中におさまった。カカシは私をぎゅっと抱きしめると満足そうに「ふう」と言う。ふう、なんて言われると怒るに怒れない、笑っちゃう。

「カカシさーん」
「はーい」
「はーいじゃなくて。起きなさい」
「今日くらい許してよ」
「でもせっかく朝ごはん作ったのに」
「後で食べるよ」

 そう言うとカカシは私の額にキスをした。当たり前のようにするもんだからびっくりしてつい笑いがこぼれる。そんな私をからかうようにまたキスをするからまた笑った、くすぐったい。

「なに、急に」
「休みが一緒なのって久しぶりでしょ」
「カカシ忙しいもんね、お疲れ様」
「労いのキスは?」
「はいはい」

 ふざけるカカシにバカだなぁ、と思いながらキスをした。カカシはお返しと言わんばかりにもう一度キスをする。
 久しぶりだからかやけに甘いなぁ、そりゃあ、まぁ、こっちも久しぶりだから嬉しいけど。

「あ」
「んー?」
「ここ、傷できてるよ」
「あーこの間の」
「…」

 忍なんだから当たり前だけど、傷が増えていくのを目の当たりにするのはやっぱりいい気分ではない。カカシはけろっと言いのけるが、私の心臓にはその度に小さな傷が出来るのだった。
 ため息をつくのを我慢してカカシの胸の傷をなぞると、カカシが私の頭にキスをする。

「ナマエ」
「ん?」
「呼んでみただけ」
「何それ」

 バカップルなんて歳じゃないのに、と思いながら笑ったら今度は鼻の頭にキスされた。もう。ペットとか小動物にキスされてるみたいだ、くすぐったくて可愛いなぁ、私を抱いてる腕はこんなに逞しいのに。

「ナマエは可愛いね」
「何で?」
「俺がキスしたら笑うんだもん」
「………」
「ね?」

 そう言いながらまた私の唇にキスをするから、図星な指摘に恥ずかしくて黙ってたけどつい笑ってしまった。触れたはしからじわじわ笑いが広がってくるから、カカシのキスは面白い。面白いって言い方はちょっとおかしいけど、面白いくらい飽きもせず笑みがこぼれるのだからそう言うしかない。
 でもやっぱり恥ずかしいことには変わりがないので、話を変えるようにカカシに聞いた。

「今日の予定は?」
「ナマエとイチャイチャ、かな」
「わっ」

 今度は瞼にキスをされるからびっくりして目を瞑る。カカシが可笑しそうに喉の奥から低く笑うから、仕返しに首元にキスしてやった。意地悪に笑ってた顔はへらりと可愛い笑顔に変わって、カカシも私と一緒じゃん、と愛しくて愛しくてまた笑っちゃった、前言撤回かな、やっぱり、私たち、バカップルかも。


20120510
二十万打フリリク@ぺろみさん
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