鳳くんは背が高い。みんなといると頭一つ分大きくて、樺地くんも大きいけれど髪の毛の色も目立つし、つい、見てしまう。
 っていうのは言い訳で、とりあえず私は鳳くんが好きなのであった。
 優しくてしっかりしてて物腰も柔らかく、頭もいいしテニスも上手い。何より、たまに目が合うと、照れくさそうに笑ってくれる。これは、どうしようもなく、期待しちゃうじゃないですか。
 鳳くんとは同じクラスになって最初の席替えで隣同士になり、流れで同じ委員会になっったところから仲が良くなった。今は席替えをして席は近くないけれど、それでも、たまに目が合ったり話したりすると私はもう幸せで幸せで、にやけてしまう口元を押さえるのに必死になるのであった。

「ミョウジさん」

 間違えるはずもない鳳くんの柔らかい声に呼ばれ、咄嗟に前髪を整える。今日は委員会の日だから何か話すきっかけがあるかもしれないと期待していた時だった。緊張するけど、落ち着いて。

「はーい」
「今日の委員会、長くなりそうだって。大丈夫?」
「え、私は大丈夫だけど、鳳くん部活は?」
「今日は休むよ。跡部さんにも伝えたし」
「そっか。分かった、ありがとう」
「…あの、それでね」
「うん?」

 少し赤くなって鳳くんがそう切り出すから首を傾げてしまった。あぁもう恥ずかしいくらい女の子らしくしてしまう、鳳くんの前だけなんだけど。

「暗くなると危ないし、一緒に帰れないかな?」
「えっ」
「あ、ダメならいいんだけど」
「いやっ違うよっ、全然、えっと、お願いします」
「うん、じゃあ、また委員会で」

 鳳くんは嬉しそうに笑うと、自分の席の方に戻って行った。ねぇ、もう、告白したいです、鳳くん、これからも一緒に帰れるような関係になりたいよ、そう思ってるの私だけじゃない、よね、違うかなぁ。
 なんてぶっ飛んだ思考を巡らせながら鳳くんの一つ飛び出た頭を見つめていたら、くるっと振り返って目が合った。あ、笑った、こっちまで笑っちゃうよ、もう、好きです。

「好きです、僕と付き合ってください」

 暗い夜道で真っ赤な顔をした鳳くんがそう言った。同じくらい真っ赤であろう私が頷くのにもちろん時間はいらなくて、頷いたら鳳くんが笑ったから私も笑った。大きな手が私の手を握るから握り返したら目が合って、びっくりするくらい心臓が跳ね上がってクラリと頭が揺れる。
 これから毎日こういう感じなのかなと思うと嬉しいようなしんどいような。そんなことを思っていたら鳳くんが言う。

「ナマエ、って呼んでもいいかな」

 結構ぐいぐいきますね鳳くん、そんな一面にまたどうしようもなくドキドキしてます、うんって言ったらあっという間にキスをされた、はい、もう、そんな可愛い照れ顔をする少し狼なあなたも好きです、長太郎くん。


20120510
二十万打フリリク@内藤さん
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