校門まであと少し、というところで携帯から視線を上げると人だかりができていた。草むらの近くに何人か、そしてそれを遠くから野次馬のように生徒たちが見守っている。何だろう?と見ていたら野次馬の中にいた裕次郎が「ナマエー」と私を呼んだ。「おー裕次郎」と手を上げ、草むらの方をちらりと見れば凛がいる。あ、凛に借りてたTシャツ返さないと。

「りーん」
「ナマエ」
「昨日借りたTシャツ…」
「あー後ででいから。裕次郎んとこ行ってろ」
「は?何で」
「ハブが出たんだよ」
「まじか」
「ほれ、邪魔さー」
「はーい」

 よく見れば草むらの方にいる人はみんな風紀委員だった。凛に言われたとおり裕次郎のところに行くと「だから呼んだのに」と言われる。

「ただの挨拶かと思ったんだよ。ってかハブでこんな大騒ぎになってんの?」
「デカい上に凶暴らしいぜ。最近ここらで何人か噛んだってよ」
「こわっ。大丈夫なの、凛」
「さーな、だから野次馬できてんだろ」
「なるほど。あ、知念だ」

 向こうから長身の知念が見えて、おーいと手を振ると知念は近くまでやってくる。

「何があったんばぁ」
「ハブだって。しかもでかくて凶暴」
「ほー」
「マングース捕まえて来なきゃね」
「ちばれよーナマエ」
「いやいや行くの知念だよ?」
「言い出しっぺはナマエさー」
「じゃあ裕次郎」
「何でわんが。お、凛来た」
「いたの?どうなった?」
「とりあえず教室戻れってよ、あとは大人がやるらしい。実際被害出てるしな」
「了解です風紀委員!」
「バカにしてるようにしか見えん」
「いたっ!」
「じゃあとりあえず教室行くか」
「あ、そういやナマエ、さっきの。わんのTシャツ」
「そうだった。えーっと…」
「どれぐらいデカいハブなんか?」
「二メートルとか委員長は言ってたけどアイツ適当だからなー」
「二メートルって…」
「あれ?」
「どうした」
「忘れてきたかも」
「…」
「いたっ!またぶった!しょうがないじゃん!ちゃんと洗ったんだよ!ってか今から取りに行くし!」
「おうダッシュで行け」
「ハブに気をつけろよー」
「ついでにマングースも捕まえてくるさー」
「うるさい知念!」
「マングース?」
「ナマエが捕まえるらしいさー」
「だからそれは知念が!」
「じゃあ二、三匹頼むわ」
「永四郎に言いつけてやる!」


20110804

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