「きゃあああああああああ!!」
「なんだ!?」
「どうしたナマエ!」
「がっくんりょおちゃん助けてぇ!」
「キモッ」
「だってだってだって無理だもん無理だもん無理だもん!」
「どうした、とにかく落ち着け」
「何騒いでやがる、ナマエ」
「あ、跡部はいいよ、あの、がっくんか亮にやってもらうから…!」
「アーン?」
「どないしたん?」
「何かあったんですか?」
「あ、長太郎も多分ダメかな…」
「何の話です?」
「若は…。いや、あのね、あれ、あの、あれ、がいたの」
「あれ?」
「やだよ、言わせないでよ…!」
「なんやナマエがこんなんなるの珍しな」
「口に出すのも嫌なの…!」
「あぁ、あれか」
「え、今ので分かったんですか?宍戸さん」
「あれだろ」
「あー」
「だから何だよ」
「わー!びっくりしたー!」
「ジロー、てめぇまた部室でサボってやがったな」
「あ、バレた?ってそうそう!まじびっくりしたんだって!」
「どないしたん」
「ゴキ」
「ああああああああああ聞こえないいいいいいい」
「あー…それかいな」
「わぁ…」
「そういうことですか」
「そういうことって若平気なの!?」
「それぐらい平気ですよ。道場が古いんでたまに見ますし」
「おっ、ひよっこ跡部に下剋上できたな」
「はい?」
「去年も出たんだよ、奴。お前らがレギュラーになる前な。で、もちろん跡部は近づきもしなかった」
「当たり前だろうが、誰が好き好んであんなものに近づくかよ」
「ま、好き好む奴はなかなかおらへんやろうな」
「今日樺地いねぇのか、跡部」
「生徒会に置いてきた」
「仕事やらせんなよな…」
「うるせぇ、宍戸お前平気なんだろ」
「しょうがねぇな」
「頑張れ亮ちゃん!でも殺すなら外でね!なんか嫌だから!」
「確実に外で殺れ、確実にだ」
「難しいこと言うなよ…。飛んできたりしたら潰しちまうかもしんねぇぞ?行ってくるわ」
「おう、行ってこーい」
「飛ぶとか…!もうやだ…!」
「ちょ、そないに男に抱きつくもんやないでナマエちゃん」
「本当にダメなんですね」
「当たり前じゃん!長太郎も顔色悪くなってるよ!」
「あら〜大丈夫〜?」
「だ、大丈夫です…」
「跡部も口数少なくなるんだからね!」
「黙れ」
「ふっ」
「勝ち誇ってんな〜ひよっこ」
「お、部室開いたで」
「ぎゃあ!」
「あ、おい、こっち出ろ、こら」
「ちょいちょいちょい!出てきたやつがこっちに来たらどうすんのバカ!若行って!」
「しょうがないですね…」
「あ、このジャンプ使っていいよ、もう読んだし」
「どうも」
「ジロー、兄ちゃんに怒られっぞ」
「大丈夫大丈夫」
「俺知らねーからな」
「くそ、こいつ部室から出ねぇ」
「早くしてよ!」
「おい、掴むなナマエ」
「苦手同士仲良くしようよ跡部っ」
「あ、出た」
「潰せ、若!」
「跡部必死だな」
「フッ!」
「おー」
「さすがにジャンプに潰されたらお終いやろ」
「よくやった、俺様の目の届かないところで処分しとけ」
「ジャンプごと焼却炉に入れるか。貸せ、若」
「どうするんですか?」
「適当なページに挟まねえと…っと、…ぐろいな」
「うわああああああ聞きたくない聞きたくない」
「…よし。んじゃ行ってくる」
「いってらー」
「でもやっぱり命を奪っちゃうのは申し訳ないですね…」
「世の中は弱肉強食なんだよ、長太郎」
「うちも同じだろ」
「あんな下等生物と同じにすんじゃねぇよ」
「そうだよがっくん」
「別に一緒にしてねぇよ」
「しかし夏は出やすいんやなぁ、去年も夏やった覚えがあんねんけど」
「夏だったね…あー疲れた、帰りてぇ」
「てめぇ」
「…」
「何?若」
「いえ、ナマエさんはゴキブリを見ると性格が変わるんですね」
「は?」
「せやで日吉、ナマエはあれを見ると普通の女の子らしくなるんや。根はお嬢様やからな」
「どういう意味だコラ」
「ナマエは金持ちだけど庶民一家だぜ」
「そうだよ、がっくんちみたいな感じ」
「俺んちそんな金持ちじゃねーよ」
「氷帝生のその台詞って嫌みに聞こえるんだって」
「まじか」
「気をつけなあかんなぁ」
「あれ、跡部誰に電話してんの?」
「去年のあれだろ」
「じいやか。部室に害虫がでた、去年同様対策しとけ」
「去年のあれだ〜」
「部室一日使えなくなるね」
「まぁ外から来るだろうから無駄だろうな」
「対策しないよりマシでしょ。あーほんと疲れた」
「ゴキブリって何億も前からおるんやろ?そこらへんすごい思うわ」
「生きている化石ってやつですね」
「しかも他の生物よりも生命力がすごいんだよね」
「人類滅亡後は奴らが地球を支配するってやつか。不愉快極まりねぇな」
「ゴキブリって熱帯とかにしかいないんじゃなかったっけ〜?」
「よく知ってますね、芥川さん」
「いくら殺虫剤を進化させても奴らが遥かに進化するだけだからな、そう考えるとどこの気候にも耐えうる種類が出てくるんじゃねぇか」
「そないして生物は生き延びてきたんやし可能性はあるかもしれへんな」
「何ゴキブリ談義してんだお前ら」
「あ、おかえり亮」
「じゃ練習すっか。侑士、ゲームしようぜ」
「ええで」
「あぁ、そうだ明日一日部室使えねぇからな」
「はい」
「はいよ」
「へーい」


20110725


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