目を覚ますと、朝ではない空気を感じてぼんやり「あーよく寝た」と思った。頭は起きても体を動かす気にはなれず、そのままごろんと体を転がす。シーツから自分の素肌が覗いて、そういえば昨日夜を共にした彼はもう起きたのかと部屋を見渡した。

「わ」

 窓際で、じりじり暑そうな日差しにさらされたジンの金属器がちかっと私の目を攻撃してきた。七つもあるもんだから反射しまくってキラキラ光って目障りだ。布でも被せようかと思っていると、扉ごしにジャーファルが声をかけてくる。

「ナマエ様、起きましたか?」
「起きたよー」
「起きたよーじゃありませんよ、王妃にもなろう方がこんな時間までぐーすかぐーすか…」
「それは昨夜の王が悪いもの。あ、まだ裸だから開けないでね」
「アンタは…!」
「小言は後で聞きまーす」
「早くお食事を済ませてくださいね」
「持って来…」
「食べに来なさい」
「…はい」

 怒ってるなぁ、と思いながらシーツを持ち上げて窓際のちらちら光って目障りな金属器に投げつけようとしたら誰かが窓から入ってきた。そんなことができるのはシンドバッドくらいで、案の定シンドバッドはひょいっと窓から入ってくると笑顔で「ナマエ、起きたか」と言ってくる。はい、おはよう。

「どうしたんだ?」
「金属器が光って目障りで…」
「?」

 あぁ、そっちからは光って見えないのか。シーツをバサッと落とすと、シンドバッドはベッドに膝をついて私に近づいた。裸の私に「綺麗だ」という言葉は彼のことだから恐らく正直な感想で、その言葉とキスに思わず笑う。

「…眩しいな」
「そんなに綺麗?」
「いや、金属器が反射して」
「…もう」

 だから言ったじゃない、と可笑しくてまた笑ったらオトボケな彼もつられるように笑った。


20110530
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