戦なんて負の連鎖を起こすどうしようもないものでしょう、と政宗に言えば彼はハッと馬鹿にするように笑った。それは綺麗事だ、と言うから何も言えなくなる。綺麗事だなんて言った者勝ちじゃない、と思ったものの確かに私は戦なしでこの世を治める方法はもう他にないということが薄々分かっていた。

「それでも綺麗にこしたことはないわ」

 負け惜しみのようにそう言うと、政宗は笑って私にきらきら光るかんざしを髪の毛に刺してくれた。異国のものだろうか、見たこともない色の石がついていて、やたらと政宗らしさが漂っている。私に似合うかどうかは置いといて、彼が好きそうなかんざしだ、とそれをそっと触ると政宗はニヤリと言った。

「それは尤もだ」

 綺麗だぜ、と私の頬に口づけた政宗は何かを期待するかのように私に触った。私がしたかった話から何かずれてる、と思いながらも政宗の髪の毛に指を突っ込む。綺麗な黒髪が私の指を撫でるような感覚に目を細めた。美しい曲線をつくる政宗の首筋に甘えたら政宗の匂いがして幸せを感じる。ああもうこれでいい、私は何も知らない、この綺麗な肌の、目の、体の、戦も血も知らないような彼と愛し合うだけでいい、綺麗にこしたことはない。


20110529
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