目を覚ますとそこはどこかの島のようだった。ようだった、と言うのはよく本で見るような風景に合致するからそう思っただけだ。上は青空、目の前は青い海、後ろは鮮やかなジャングル、耳にはやたらゆっくりとした波音しか聞こえない。それこそ私が読むような本ならばここは無人島なのだろう。

「えっと…おーい!」

 有人島かもしれない、とりあえず叫んでみた。が、どこからも何も聞こえなかった。やはりここは無人島なのだろうか。にしても私は落ち着きすぎじゃないだろうか。

「…シャンクスならどうにかして見つけてくれるだろうしなぁ」

 なぜこういう状況に陥ったのかは全く覚えてないけれど、シャンクスが探してくれるだろうし不安が全くない。海は広しと言えど、シャンクスは海賊だし力もある。不安要素は浮かんできては脳内のシャンクスによって消されていくのだ。

 目を覚ますとそこはいつもの天井だった。あれ………………夢か。ガタッと音がして、見ればシャンクスがコーヒーを飲んでいる。私が起きたのを見てシャンクスは笑った。

「やっと起きたか。よく寝てたなぁ、お前」
「…夢見た」
「どんな?」
「無人島にいた」
「それ俺は?」
「無人島なんだからいないに決まってるでしょ」
「何で無人島に?」
「分かんないけど。まぁシャンクスが探し出してくれるだろうし、って全然不安じゃなかったよ。夢だったからかな」
「確かに探し出すけどな」
「うん。私はシャンクスがいれば怖くないよ。シャンクスとなら無人島でもいい」

 そう言いながらベッドから降りると、シャンクスが笑ってコーヒーを渡してくれた。それを飲むと、なぜか甲板の方でワッとみんなが騒いでいる声がした。何かあったらしい。その声に二人して笑い、またコーヒーを飲んだ。あぁ、なんだろ、全てが優しさに満ちている。

「やっぱり船が一番だねぇ」
「俺がいるから?」
「シャンクスとみんながいるから」

 嬉しそうな満足そうな顔にキスをすれば、やったなと言わんばかりにキスが返ってきた。またなぜか甲板の方でみんなの騒ぎ声が聞こえて、一センチ離れたところでシャンクスが笑ったから私も笑った。


20110329
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