「ナマエちゃん、一日一回はキスしよう」と私を押し倒して甘える千石に呆れた。そんな、付き合いたてのバカップルじゃあるまいし。軽くため息をつくと聞こえてたらしく、千石は私の首筋あたりに埋めていた顔を上げた。

「ため息つくなんてひどい」
「だって何でそんなこと」
「ため息ついたから絶対ナマエちゃんからキスしてね」
「何でそうなるの」
「いいじゃん、決まり」
「勝手な」

 千石はいつも勝手だ。デートの行き先も食べるものも帰る時間も。私が提案しないのも悪いかもしれないけど。
 げし、と軽く蹴りを入れたら千石は嬉しそうな顔をした。千石ってMだったんだね、と言えば、違うよ、ナマエちゃんの足が可愛いから、と意味の分からない言葉を返された。へらりと笑う千石に、呆れてはいるけど私まで笑ってしまうから何だかんだ私は千石が大好きなんだと思う。そんな自分が嫌いじゃなかったりして。

「今日泊まるの?」

 手を伸ばして千石の髪の毛を撫でながら問うと、千石はやたらかっこいい顔で笑う。

「それはナマエちゃん次第」

 こういうときだけ優しい。そこは強引でも別に構わないのに。一日一回ね、とキスをすれば千石は一瞬固まって、すぐニヤリとだらしのない顔をした。バカだなぁと笑う。


20110324
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