ふとテレビを点けるとETUの試合の結果が流されていて、咄嗟に服を畳む手を止めて顔を上げた。そのまま、隣で雑誌を読んでいる良則くんに声をかける。

「良則くん良則くん!出るかもよ!」
「あ?」

 流れている映像は明らかに昨日の試合で、昨日は途中出場をした良則くんが後半の終わりにゴールを決めたのだ、むしろ出ないはずがない。案の定映像は一気に後半の、良則くんにパスが渡る瞬間に移り変わる。

「良則くん!良則くんだ!」
「うるせぇ」
「ほらほら!いけ!入れろー!」

 録画もしていたし、リプレイとかでもう何度も見たシーンなのに声を張り上げてしまった。良則くんの蹴ったボールがズバンとゴールのネットを揺らし、更に私のテンションは上がる。

「わー!やったー!すごい!すごいよ!良則くん!」
「何回も見ただろ」
「…すごい温度差ですね」

 見れば、良則くんはテレビなんか見てなくて再び雑誌に目を通していた。いつものことだが、相変わらずの温度差だ、確かにはしゃぎすぎかもしれないけどさ。もう、と頬を膨らませて畳かけの練習着の皺を伸ばしていると良則くんの明らかに雑誌に集中したような呟きが聞こえる。

「…この温度差がいいんだろうが」

 雑誌に夢中で自分が言ったことをよく分かってないみたいだ。こっちはキュンキュンして仕方がないのに、なんという温度差。


20110224
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