「眠い」と光が呟いたから冗談混じりに「膝枕したろか?」と笑ったら光はしばし考えるような真面目な顔をして、ゆっくり体をこっちに傾けてきた。私はびっくりして両手を上げたまま体が固まる。光は頭の位置が納得いかないのかごそごそ動き、光の頭が太ももを刺激してくすぐったい、変な声が出そうになって我慢した。

「先輩ぶにぶにですやん」
「ぶにぶにって!せめてぷにぷにって言えや!」

 光は左手で私の膝を触り、太ももを撫でたり揉んだりする。遠慮なしの触り方で太ももから首筋にかけて寒気が走り抜けた。乾いてるのに暖かい光の手の平は男の子、という感じで思わずドキドキした。そんな光の手を掴んで声を上げる。

「ちょ、やめ、光、お触り禁止やで!」
「ケチケチすんなや」
「落とすで」

 チッという舌打ちが聞こえた。大体ぶにぶにって何やねん、確かに太ってもうたけどそんなに変わってへんっちゅーねん、ぷにぷに程度やっちゃーねん。

「…ダイエットするわ」
「それこの間も聞いた」
「ってか今しとるもん、ダイエット」
「へぇ。まぁ無理せんでもいいんちゃうんですか」
「ぶにぶになんやろ」
「気持ちええからこんままでもいいっスわ」
「…ほんまに?」
「ほんまに」

 おう、なんや、恥ずかしいし嬉しいやないかい。
 光がこっちを見てないのをいいことに少しニヤリとし、すぐ戻すように努力した。すると光は拗ねてるみたいな声で言葉を続ける。

「こんままでええから、膝枕して」
「え、してるやん」
「これからも」
「…するで、オバハンになってぶよぶよになってもしたる」

 ちょっと恥ずかしくなったけどそう言うと光は左手で私の膝を叩いた。ぽんぽん、となだめるように叩くもんだから何かおかしいなと思ったら光はボソッと呟いた。

「…歯が抜けても」
「…おん、ヨボヨボになっても」

 照れ隠しかぁ、と思いながら光の頭をぽんぽんと撫でた。うん、まぁ、せやねん、これも照れ隠しや。


20110126
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