※跡部がにゃんこで赤也がわんこでいろいろカオス



「ナマエさーん!」

 尻尾をパタパタさせて走ってくるのはもじゃもじゃ頭の切原赤也くん、わんこである。

「無視しろナマエ」

 対して私の膝を枕にして爪とぎで爪を研いでいるのが跡部景吾くん、にゃんこである。
 跡部くんはそうは言うものの、ちぎれんばかりに尻尾を振る可愛らしいわんこを無視できる人がこの世にいるだろうか。気ままでマイペースなにゃんこも可愛いけれど、ああやって私を見つけると嬉しそうに駆け寄ってくるわんこも可愛くてしょうがない。

「あ、また跡部さん!ずるいッスよ!」
「アーン?」
「俺もナマエさんの膝枕で寝たいッス!」
「百年早えよ、失せろ」
「な…!」

 跡部くんの言葉にさっきまでパタパタ動いていた尻尾がしょぼん、と落ちていって思わず笑ってしまった。可愛い。すると私が笑ったことに気づいた赤也くんが不満そうに私を睨む。

「何で笑うんスかナマエさん」
「ごめん、可愛くて」
「…膝枕してくれます?」
「私で良ければもちろん」
「おい」

 私の言葉を少し遮るように跡部くんが言った。起き上がり、長くて上品な毛並みの尻尾で私の顔を撫でるように喋るのを邪魔する。

「ぶわ、ちょ、跡部く」
「何こんな犬甘やかしてんだよ」
「いや、だって、きょーは跡部くん甘やか、ちょ、喋れない」
「フン」

 私が反論すると跡部くんは機嫌が悪くなったのか立ち上がってどこかに行ってしまった。本当に気ままなにゃんこだ。
 跡部くんは置いといて、と赤也くんを見ると赤也くんはジッと跡部くんの方を見ていた。動いているものを見ずにはいられないのだろうか。しばらくすると私の視線に気づいて、にっこり笑う。私の隣に座って再びちぎれんばかりに尻尾を振る赤也くんが微笑ましくて頭を撫でると、気持ち良さそうに目を瞑った。

「ナマエさんいい匂いッス!」
「え〜跡部くんの方がいい匂いだと思うけど」
「俺の鼻が信じられないんスか?今日だってナマエさんの匂い辿ってここまで来たんスよ!」
「そっか〜偉いね〜」

 ムツゴロウさんよろしくわしゃわしゃと赤也くんの頭を撫でれば、嬉しそうに笑って更に尻尾が上機嫌にパタパタと動いた。
 赤也くんの尻尾、そろそろちぎれるんじゃなかろうか。そんなことを思いながら撫でていたらいつの間にか跡部くんがこっちにやって来ていた。何かを持っている。

「おい、そこの犬」
「?」
「おらよ!」

 掛け声とともに、跡部くんは手に持ったものを思い切り投げた。テニスボールだった。赤也くんはそれを確認すると尻尾を振って駆けていく。早い。

「やっといなくなったか」
「跡部くん…どこから持ってきたの?」
「手塚から貰ってきた」
「怒られるよ?テニスボールは犬の遊び道具じゃないって。怒られる前に謝りに行こう」
「何で俺が…」
「ていうか私が国光くんとこ行きたいだけなんだけど」
「…おい」
「赤也くんはまた匂い辿ってくるだろうし、行こうか」
「…」

 跡部くんと国光くんに謝りに行って、しばらくすると赤也くんも帰ってきた。赤也くんが私にじゃれついてくるから跡部くんもじゃれついてきて、それを見て国光くんは「仲がいいな」と笑った。嬉しくて笑い、「国光くんとも仲良くしたいなぁ」と言ったら跡部くんが私に爪を立てて、赤也くんが「ナマエさん!」と吠える。大好きな家族に囲まれて私は幸せです。


20120201
十万打フリリク@小林ちゃん
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