恭弥くんは犯罪者だ、殺人犯だ、凶悪だ、何度も何度も人を殺してるんだよ、人ってゆーか私なんだけど。恭弥くんの髪の毛はサラサラでいい匂いがするし、目は切れ長で見つめられるだけで心臓が爆発しそうになるし、手は大きくて指は細くて、でも力強くて体温が少し高くて触られるだけで鳥肌が立ちそうなくらい幸せで、色気がある声にはいつも腰砕けだ。ここまでで傷害罪、私の心臓やら何やらを傷つけてる。でも私は結構しぶといからそれでは死なない。何で死ぬのかってそりゃ、く、くちび、るですよ、恭弥くんの。私がどもっちゃうくらいあれは恐ろしい。綺麗で触れると気持ちよくて、一瞬頭の中が真っ白になってしまう。何度も何度も恭弥くんは私を殺す。この間なんか、玄関のところで行ってらっしゃいと言ったら急に恭弥くんが私の額にキスをして、倒れそうになった。咄嗟に恭弥くんの服を掴むと今度は口にされて、恭弥くんがお仕事に出かけて行った後しばらく動けなくなったのだ。死んだら生き返るまで時間が少しかかっちゃうけど、生き返る瞬間は気持ちよくて幸せでたまらない。そのせいで気を抜くとまた死んでしまう。ふわっとなって心臓が裏返って呼吸も止まりそうになってしまうのだ。
 恭弥くんは殺人犯だ、凶悪連続殺人犯で、すぐに私を殺す。

「じゃあ優しくすればいいわけ?」

 恭弥くんのキスを思わず拒んでしまい、咄嗟にでた言い訳に恭弥くんはそう言って私を捕まえて顔を近づける。
 違うよ恭弥くん、恭弥くんのキスはいつだって優しいもん、そうじゃなくて、あ、だめ、ほっぺに添えた手が優しい、わ、だめだよ、おでこもほっぺも、ゆっくりゆっくりキスを、あ、あーあ。
 また死んじゃった。

100816

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