シカマルが着替えているのを見て、反射的に「痩せなきゃ」と思った。シカマルの引き締まった体には本当に余分な肉というものがないのだ。腹筋なんか綺麗に六つに割れていて、恋人だということを抜きにしても思わずドキッとしてしまうくらいである。そっと自分のお腹に手を当てると、明らかに以前より柔らかくなった肉に気分が沈んだ。油断していた、と思わずうなだれる。
「何してんだお前」
「いや…太ったから…」
「はぁ?」
シカマルは意味が分からない、というような顔をした。それは私が太っていないとかそういうことを言いたかったわけではなくシカマルからしてみれば「そんなくだらねぇこと」という感じだろう。恨めしい。
「どうやったら痩せるかな」
「運動」
「仕事してたら運動してる暇ないし…運動しなかったら痩せない?」
「要はどれだけカロリーを消費するかだからな。食った分動けばいいんじゃねぇのか」
「ご飯美味しいから無理だ…痩せれるご飯とかないかな?」
「炭水化物はカロリーが高い。というかお前の好きなモンの大体はカロリーが高ぇからな」
「え、そうなの?」
「あとは時間帯だな、寝てる間にカロリーが脂肪になるから寝る前の食事は太るぜ」
シカマルは頭がいいからか、スラスラと答えが返ってくる。ほとんどが落ち込むような答えだけれど。もう一度お腹に手を添えると、それを見たシカマルが笑った。
「腹か」
「な、何よ」
「いや、確かになと思って」
「酷い…」
「気にするほどじゃねぇだろ、前が細過ぎだったんだっつーの」
「やっぱり太ったんじゃん私!」
「あーうるせぇ」
シカマルは私の腕を掴むと強引にキスをした。驚いて固まっていたらシカマルはニヤ、と笑う。
「女の腹に脂肪がつくのは仕方ねぇんだよ、子宮を守るためにそういう風になってるんだからな」
「そ…うなの?」
そんなの嘘だ、と言いたかったけれど言えなかった。シカマルは頭がいいし、そういうことで嘘を言ったことはない。シカマルはもう一度笑い、もう一度私にキスをした。あぁこの流れはエッチになりそうだな、と思いながらそれを受け入れる。
「だから俺のためにもちょっとは大目に見ろよ」
案の定押し倒された。そういうことなら仕方ない、シカマルのために大目に見ようじゃないか。
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