千歳の姿はすぐに見つけられた。一度、小春ちゃんに「恋する乙女ねぇ」とからかわれたが断じて違う。背が目立つから嫌でも分かってしまうのだ。


千歳の姿はすぐに見つけられた。「千歳おらんやん」と呟いた謙也に言った。「おるやん、あそこ」「どこ?」「あの集団の中」「あ、ほんまや。よう分かったなぁ」謙也はニヤニヤした。千歳は座っていたが恋ではない、断じて違う、あのモジャモジャが目立つから嫌でも分かってしまうのだ。


「千歳、落ち込んでへん?」
「そうか?」
「うん」
「あ、そういえば金曜ロードショーのジブリ見逃した言うてたような気ぃするわ。ナマエは千歳よう見とるなぁ」
「ちゃうわ、マネージャーやから分かるねん。白石の今日のパンツの色も分かるで、緑やろ」
「ちゃいます若草色ですー」
「一緒ですー」


「なーなー千歳はー?」
「何で私に聞くねん金ちゃん、分かるわけないやん」
「えー、ユウジがナマエに聞きって言うたでー?」
「千歳の考えることが分かるわけないやろ」
「ほなヒントは!?」
「聞いてへんし…。屋上にいてるんちゃうの?」
「よっしゃ!行ってくるで!」
「え、ほんまに行くん!?」

「さすがナマエや!千歳おったー!」
「まぐれやって…」
「ナマエがバラしたと?」
「適当に言うただけや」
「ナマエすごいで!千歳の考えること分かるねん!」
「まじ?」
「…分かるわけないやん」
「ほんじゃ、当ててみて」
「せやから、分からんって」
「嘘ついたらいかんばい」
「もったいぶらんといてーなナマエ!」
「…千歳、は私が好き、て」
「当たり」
「ナマエすごいわぁ!」

千歳の考えることはすぐ分かった。いつも見ていたから。


100220

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