銀ちゃんはいつも大怪我をする。万事屋やってるくせに何でこんな大怪我するんだって感じだ。ちょっと会わないと新八くんから電話がくるのだ、「あの、銀さんがですね、また大怪我しちゃって、ははは…」と申し訳なさそうに毎回言うからこっちも申し訳ない。当の本人は私が飛んで行けば「おいおい、彼氏に会いに来るんだから髪の毛くらい撫でてこいや」と言うので、私は毎回包帯でぐるぐる巻きにされた銀ちゃんの包帯でぐるぐる巻きにされてないところをぶっ叩く。本当にムカつく野郎である。

「プリンとケーキ買ってきたけど自分で食べるね」
「待て待て待て悪かった銀さん謝るからァァァ!!」
「謝って死ね」
「なにそれ!銀さん頑張って生きて帰ったのに!」
「どう仕事したらそんな大怪我すんのよ!毎回毎回斬り傷増えてさ!私がどれだけ心配したか分かってんの?何日ぶりに会ったと思ってんの?ぐるぐる巻きで抱きつきもできないじゃん!何なのほんと!バカなの?バカでしょ!死ねば、良、か、った、のに!」

 言い切る直前に涙が溢れて、混乱する頭で死ねば良かったのにとか言って、頭痛いし、ムカつくし、でも本当に生きてて良かったって安堵するし、ああ、なんか、もう。

「やだもう…」

 何が嫌ってそれが分からない。それも嫌だ。涙溢れるし。頭が痛くなる。嫌だ。

「…悪かったって」
「悪かったじゃないよ。久しぶり、銀ちゃん」
「どんなタイミング!?」
「久しぶりじゃん」
「いやそうだけども!さっきまで泣いてたじゃんお前!」
「銀ちゃんに何訴えても無駄って分かってるんだよ」
「あー…」
「好きに生きていいよ、死ななきゃね」
「…」
「…ご、めん」

 銀ちゃんが黙ったから怒ったかなと思ってこっちが謝ってしまった。下を向く。
 こんなことで怒る銀ちゃんじゃないけど、久しぶりに会ったからよく分からなくなってしまった。何だか切ないと思う。
 銀ちゃんがいつもの低い声で「なぁ」と言葉を発して、私は銀ちゃんを見上げた。

「一緒に暮らすか」
「……まじでか」
「おう、まじだ」
「…同棲とか嫌って言ってなかった?ってゆーか嫌でしょ?めんどくさくない?」
「お前ならいい」
「え、うそ、待って」
「いや、うん、嫌ならいいけど」
「嫌じゃない!けど、銀ちゃんは?」
「嫌じゃねぇっつってんだろ、しつけぇんだよコノヤロー」
「ちょっとォォ嬉しいんだけど泣いていい?泣いていい?」
「よし、嬉しいならとりあえずそのプリンとケーキくれ」
「いつからいいの?」
「今日からでもいいだろ別に、プリンくれ」
「き、着替えとかどうしよう!」
「俺のでいいだろ、ケーキくれ」
「うわぁ、恋人同士っぽい!」
「ちょっとォォ俺の話聞いてるゥゥゥ!?」
「聞いてる聞いてる!スプーンとフォーク持ってくるよ」

 鼻歌混じりで台所に行って、何回か間違えたけど引き出しを開けて二人分のスプーンとフォークを取り出した。こんなのも、いつか慣れるんだろうなぁと思うと胸が苦しいくらい嬉しくなった。めんどくさがりで自由人の銀ちゃんからあんな申し出が出るなんて、本当に思わなかった。
 マグカップも取り出して戻ると、銀ちゃんが私を見て笑っている。

「にやけてんぞ」
「銀ちゃんもね」


091121

×
「#オリジナル」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -