「お前と静雄、雰囲気変わったよな」
「…そうですかねぇ」
「明らかにな」
「静雄は分かんないですけど、私は変わったかもしれません」
「?」
「自覚したんで、静雄のこと」

 は?という声と一緒にトムさんの持っていたポテトが落ちた。口をポカーンと開けたトムさんが私を見つめる。

「勿体無いですトムさん」
「あ、お、悪ぃ、って、お前」
「好きですよ、静雄が」
「…俺に言っていいのか?」
「静雄に言うなんて野暮なことをトムさんがするとは思えないんで」
「はっ、随分信用されたもんだな、俺も」
「確かに」

 最初は借金の取り立てで出会ったのに静雄もトムさんももう私の中ではそんなイメージなんかないし、むしろ信用も信頼もしている。こんなことになるなんて誰が想像しただろうか。あ、臨也なら想像したかもしれない。

「何二人で笑ってるんすか」
「おー静雄、俺のコーヒーは?」
「あ、はい、どうぞ。これはナマエの茶な」
「ありがとう。静雄はまたシェイク?」
「悪いかよ」
「ううん、可愛いよね」
「可愛いって言うな」

 静雄に睨まれ、笑うとトムさんもニヤニヤ笑った。静雄は「?」という顔をしている。可愛い。飲み物が来たところでチーズハンバーガーを前に「いただきます」と言い、口に含んだ。誰も喋らないから私が言葉を発した。

「今日は終わりなんですか?」
「いや、また夜から行くぜ。お前は?」
「昼から事務所に私一人らしくて。忙しいです」
「一人?大丈夫かそれ」
「何がですか?」
「だってお前静雄の女だと勘違いされてんだぞ?何かあったらどうするんだよ。なぁ静雄」
「そうっすね」
「ちょうどいい、静雄、事務所いてやったらどうだ?どうせ暇だろ?」
「うす」

 キュイキュイとシェイクを吸いながら静雄は答え、トムさんは私に向かって軽くニヤリとした。楽しそうである。

100615


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