「ねぇねぇ幸村くんは優しいの?それとも怖いの?それとも怖いのに優しいふりしてる性格悪い感じなの?」
「ふふ、ひどいな」

 ふわっと幸村は優しい笑顔で、私の失礼でとんでもない質問に怒ることもなくそう返した。うーん。優しい。どこまでも。作ってるようには見えない。

「だって幸村、たまに怖い。部活してるときとか七割怖い」
「それだけ真剣なんだよ」
「じゃあ今は真剣じゃない?」
「真剣だよ」

 ぱたん、と幸村は読んでいた本を閉じて私にまた笑いかけた。こうやって読んでいる本にしおりを挟まないくらい、君の言葉に耳を傾けてるよ、ってか。性格いいんだか悪いんだか。

「ますますわからない」
「そんなに知りたい?俺のこと」
「彼女だもーん」
「知らないのに俺の告白を受けたんだ?」
「割とどっちも幸村だと思ってるもーん」
「ふふ、正解」

 春に咲く、淡い色をした花を思い出すような笑顔だった。少し首を傾げた感じが女性らしさもあって、より美しい。二年生の切原くんが「幸村ぶちょーまじで怖いっスよぉ」と情けない声で言っていたのを思い出したけど、そんなのあり得ないあり得ないって言ってしまいそうな笑顔だ。

「部活でも優しくしてあげてね、みんなに」
「真田に比べれば優しい方だと思ってるけど」
「うーん…確かに」
「何より俺は部長だからある程度の威圧感はないとね」
「何もしてなくても幸村あるよ、威圧感」
「ナマエに言われたくないなぁ」
「えー私ないよー威圧感とかー」
「だって急に変な質問するじゃないか」
「さっきみたいな?」
「真田だったら怒ってるよ?」
「うん、それは確かに。でも私より真田を怒らせてるのは幸村だと思う」
「ははは」
「あと私を怒らせるのも」
「ははは」
「もう」
「ナマエ、キスしようよ」
「うん、いいよ」


黙れば良いと思うよ


「ん」
「…」
「…」
「…」
「あ、ちゅうしたのに本読むんだ」
「…」
「あ、無視なんだ」
「…」
「…」
「…」
「…」
「ぷっ」
「え、何急にうるさい幸村」


20130709
title by しうさま
ありがとうございました!
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