銀ちゃんが夜中に「糖分切れた、ちょっとコンビニ行ってくるわ」と言うから私もついて行った。夜中で人通りもなかったし、行きはどちらともなく手を繋いだけれどコンビニの近くになると銀ちゃんは恥ずかしがってか私と手を放した。「へたれ」と言えば「えー?何ぃ?何の話ぃ?銀さん全然分かんない」と下手な言い訳である。

「ありがとうございましたー」

 銀ちゃんと私好みのスイーツやお菓子を買って、コンビニを出る。私が持っていたコンビニの袋を銀ちゃんは奪うと何事もなかったように「星すげ」と低い声で呟いた。見上げれば、確かに満天の星空だ。

「気付かなかった」
「な」
「えい」
「おいおいなんだいナマエちゃん、寂しがり屋かィ」

 この隙に銀ちゃんの手を握ればそんなことを言われた。なんとでも言うがいい、もう知り合いがいても家族がいても離してやんないんだからな。自分だって、ぎゅって私の手を握るくせに。
 手を繋いだまま銀ちゃんの肩に頭を預けて、くっつきながら歩いた。銀ちゃんは邪魔だともうざいとも言わない。こんな夜にそんなこと言ったら、目つぶしだけどね。あ、銀ちゃん、星見てる。

「…あの星銀ちゃんね」
「あー?どれよ」
「あれ、下の、おっきいやつ」
「じゃあ隣のお前な」
「右のやつ?」
「左」
「そんなに真横にいていいの?」
「今真横だろーが」
「はは、確かに」
「その下のうっすいやつ、新八」
「じゃあその隣のちょっと赤いやつは神楽ちゃん」
「定春はー…」
「銀ちゃんの上のおっきいやつかなぁ」
「何で上よ」
「いっつも噛まれてるから」
「…」
「愛されてるねぇ銀ちゃん、みんなに囲まれて」
「右隣あいてっけど」
「いいよ、今もいないし」
「さいですか」
「あれ、そっち行くの?こっちから来たのに」
「おい言うなよ黙ってついてこいよ」
「あ、もうちょっとこのまま私といたい?」
「だから言うなよ何なのお前俺を辱めてそんなに楽しい?」
「辱めてなんかないよ、私も一緒にいたいもん」
「…俺はそんなお前の気持ちを汲んでだな」
「はいはーい、そりゃどーも」
「…」
「……」
「…明日」
「うん?」
「明日、何もねぇから」
「うん」
「どっか行くか」
「…ほんとに?デート?」
「デート、っつーか、まぁ、そんなカンジ」
「手、繋いでくれる?」
「…やだ」
「へたれ!日の当たる場所でも私を愛してよバカ!」
「何設定それ?」
「じゃあ十回好きって言ってくれたら許してあげる」
「何ルールそれ?」
「せーのっ」
「あーはいはい、スキスキスキスキ」
「棒読み!」
「スキスキスキスキ」
「早口!」
「好き」
「…」
「…」
「九回目だよ、それ」
「あぁ、そう…うん」
「…」
「……」
「…ちゅうする?」
「したいなら俺は別にいいけどぉ?」

 平静を装うけど抑えきれないみたいなにやけ顔、もう、このまま二人で夜の端っこまでいっちゃおうか。


















 たまに、銀ちゃんが好きで好きで好きでしょうがなくなるとき、脳が熱くなって私の目の奥で何かがチカッと光るような消えるような感覚がするんだけど、銀ちゃんは、そういうことあるかな。



20130713
title and お題 by チエルさま
ありがとうございました!
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