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▼ 秘密の部屋2

「純粋な魔法族の家系にのみ教育を与えるべきか否かという点で創設者4人の間で意見が割れた。特にスリザリンとグリフィンドールが激しく言い争い、結果としてスリザリンはホグワーツを去ることになった。

 これは歴史的確証もない話であり、単なる余談であることを念頭に入れて欲しいが、当時スリザリンが城を去る時に『ある部屋』を作ったという空想上の伝説がある。

 伝説によれば、スリザリンは『秘密の部屋』を密封し、この学校に彼の真の継承者が現れる時まで、何人もその部屋を開けることができないようにした。

 その継承者のみが『秘密の部屋』の封印を解き、その中の恐怖を解き放ち、それを用いてこの学校から魔法を学ぶにふさわしからざる者を追放すると言われている。

 読者の諸君は安心して欲しい。この本が書かれるに至るまで、幾度となく最高峰の魔女や魔法使いが城を調べたが、部屋は存在しなかった。ただ、城には様々な隠された部屋があることから、今でもこの部屋の伝説を信じる者は多い」

 ギリアンが読み上げた時部屋は静まり返っていた。誰かの「伝説は本当なんだよ」という呟きが部屋にいる嫌に響いた。いつも暖かくて居心地のいい穴熊の巣穴は、今はまるで地下牢のように静かで冷たく、居心地の悪いようなものに感じられた。

「部屋の中の恐怖って、何なの?」

「寮から出ない方が良いよな……」

 リーアンが青ざめた顔で言った。彼女は、ハッフルパフに珍しくないがマグル出身だ。隣で同じくマグル出身のジャスティンが顔を青ざめさせ怯えたように言う。

「部屋なんて無いわよ!」

 静まり返った冷たい空気をソフィアの明るい声が冷たい空気を裂いた。みんな何事かとソフィアを見やるが、自信満々ににんまりと笑う。

「闇祓いの最高峰も、ホグワーツを調べたのよ。ルーファス・スクリームジョールも、マッドアイも! 優れた魔法使いたちが闇の魔法の痕跡は無いって言ったのよ。秘密の部屋なんて存在しないわ。

 もちろん、嫌な悪戯は許せない。用心するのは間違ってないけど、怯えて寮に引きこもるなんてやめましょうよ」

 にっこりと笑ったソフィアに下級生だけではなく上級生もそうだよと口々に言って同意した。一部は納得できないようだったが。虚勢を張りたいといった気持ちもあったのかもしれない、寮生も悪戯にしては悪質すぎるよと言い聞かせるように明るく笑った。

 ソフィアだって、秘密の部屋がないという確証があるわけでも無い。現に壁に書かれた文字は、秘密の部屋の存在を仄めかしている。でも、少しでも仲間を励ましたくて、自信満々に言ってみせた。

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