immature love | ナノ


▼ 秘密の部屋1

 ミセス・ノリスは死んだのではなく石になったらしい。そのことを知ったのは、特別知ろうとしたからではない。学校中がいま、ミセス・ノリスが襲われた話でもちきりだったからだ。それに、ハリーたちと同じグリフィンドールのフレッドはその後色々聞いたらしい。

 フィルチが壁に書かれた文字を消そうと「ミセス・ゴシゴシの魔法万能汚れ落とし」でこすっているのを横目に廊下を足早に通り抜けた。フィルチはあの日からずっと血走った目をギョロギョロと動かし、廊下を通る度に難癖をつける。犯人が現場に戻ると思っているらしい。

 あの廊下を歩いていなくたって、一度レティと笑いながら話していたらフィルチが来て「いま、笑っただろう! ミセス・ノリスが石になって喜んだな!」と酷いがなり声で難癖をつけられたこともあった。

 寮に戻っても、ミセス・ノリスや秘密の部屋の話で持ちきりだった。気が滅入る話から逃げることができそうにない。 ソフィアが諦めて暖炉近くの肘掛け椅子に腰を埋めていると、近くのソファに座ったジャスティンやアーニーたち2年生が深刻そうに顔を突き合わせて話し合っている。

 ジャスティンもそうだが、ハッフルパフはマグル生まれが他の寮と比べて多い。継承者の敵が穢れた血だとマルフォイが声高々に言ったものだから、ハッフルパフの生徒は――特に下級生は――怯えているようだった。本人は自分の身を案じて、周りはその友人の身を案じて怯える。仲間思いが嫌な方向に暴走しそうだと ソフィアは他人事のように思った。

  ソフィアの姓はアスターである。魔法界の社会でも ソフィアは純血の両親を持ち、アスター家の実子として通っているし、 ソフィアが実はマグル生まれだと知っている者はウィーズリー家を除いていない。だから、フレッドも誰にも聞かれないように ソフィアの身を案じたのだろう。

 結論、純血だと勘違いされている ソフィア は変に警戒し怯えるより、自然に振る舞った方が ソフィアの場合安全だった。もし、犯人が見ただけでその人に流れる血を判断できるなら無駄なことだが。

「ホグワーツの歴史を借りて来たぜ!」

 出口へと続く扉が開き、ギリアンが意気揚々と思い普段なら誰も読まないような本を掲げた。上級生から下級生まで、みんな年齢関係なく喜び、はしゃぎ、ギリアンへ群がる。セドリックが落ち着いてと周りを宥めているようだ。

「俺が今から秘密の部屋の該当箇所を読み上げるから、静かにしてくれ……よろしい」

 少し気取ったようにギリアンが話し始めた。みんな一言一句聞き逃すまいと静まり返る。その様子を見て、咳払いをしながら気取った動作でギリアンが本を開いた。


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