immature love | ナノ


▼ 目覚め1

 六人が泥まみれのネトネトで(ハリーはその上血まみれで)戸口に立つと、一瞬沈黙が流れた。そして叫び声があがった。

「ジニー!」モリー・ウィーズリーの声だ。

 パーシーの手紙を受けてすぐに来たのだろう。モリーとアーサー・ウィーズリー、フレッドたちの両親が暖炉の前に座っていた。二人は娘に飛びついて抱きしめた。

 すぐに、フレッドとジョージ、ロン、ハリーも四人まとめて抱きしめられた。(一人の腕の長さではさすがに抱きしめられず、半ば円陣を組むような形になった。)

「おまえたちがあの子を助けてくれた! あの子の命を! どうやって助けたの?」モリーが言った。

「私たち全員がそれを知りたいと思っていますよ」マクゴナガルがぽつりと言った。

 ハリーは一部始終を語りはじめた。十五分も話したろうか、聞き手は魅せられたようにしーんとして聞き入った。入り口までを見つけた経緯だけで、一冊の本が書けそうな内容だった。

「そうでしたか」マクゴナガルが言った。「一体全体どうやって、全員生きてその部屋を出られたというのですか?」

 ハリーが続けた内容はフレッドも知らないものだった。フォークスがちょうどよい時に現れたこと、「組分け帽子」が、剣をハリーにくれたこと。自分より二つも年下の男の子が、一人でこんな活躍をしたなんて信じられない。呆然と聞いていると、ハリーは言葉を途切らせた。

「わしが一番興味があるのは」ダンブルドアがハリーの意図を汲んだように口を挟んだ。「ヴォルデモート卿が、どうやってジニーに魔法をかけたかということじゃな。わしの個人的情報によれば、ヴォルデモートは、現在アルバニアの森に隠れているらしいが」

 秘密の部屋の事件に、例のあの人が関わっていたというのか。フレッドとジョージは驚きで目を丸め、顔を見合わせた。

「な、何ですって?」アーサーが声をあげた。「『例のあの人』が? ジニーに、ま、魔法をかけたと? でも、ジニーはそんな……ジニーはこれまでそんな……それともほんとうに?」

「この日記だったんです」 ハリーは日記を取り上げ、ダンブルドアに見せた。「リドルは十六歳の時に、これを書きました」

 リドルという名前はフレッドにも聞き覚えがある。この前ハリーとロンから聞いた名前だった。まさに、日記が怪しいという双子の推理は的中していたが、リドルとヴォルデモートが関係しているのだろうか。

「ヴォルデモート卿が、かつてトム・リドルと呼ばれていたことを知る者は、ほとんどいない。わし自身、五十年前、ホグワーツでトムを教えた。卒業後、トムは姿を消し、再び現れた時には、全く面影がなく誰も結びつけることはできん姿になっていたが、ヴォルデモート卿を名乗っておった」ダンブルドアが言った。

「うちのジニーが、その――その人と――なんの関係が?」モリーが聞いた。

「その人の、に、日記なの!」ジニーがしゃくり上げた。「あたし、いつもその日記に、か、書いていたの。そしたら、その人が、あたしに今学期中ずっと、返事をくれたの――」

「パパがいつも言ってただろう? 脳みそがどこにあるか見えないのに、独りで勝手に考えることができるものは信用しちゃいけないって、教えただろう? どうして日記をパパかママに見せなかったの? そんな妖しげなものは、闇の魔術が詰まっていることははっきりしているのに!」アーサーが信じられないと言わんばかりの声を上げた。

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