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▼ 禁じられた森1

 ソフィアたちが襲わられてから数週間が経ち、夏が訪れた。いつも分厚い雲が横たわる空も、晴れ渡り、明るいブルーだ。対照的に、生徒も先生も誰もが沈んでいた。

 生徒が四人、それも純血だから大丈夫と思われていたソフィア・アスターまで襲われたので、全員が部屋の恐怖に襲われる可能性に晒されていた。ハグリッドが犯人として逮捕されたことは生徒はみんな知っていたが、誰もが犯人は他にいる違いないと思っていた。

 その上、なにより恐ろしいことに、ダンブルドアがいなくなった。誰もが、いつ被害は深刻化すると確信していた。いくら太陽が城を照らし、気温が上がっても、城の中はまるで幽霊屋敷や独房のようにジメジメとした陰鬱な空気が広がっている。

 誰も彼もが、心配そうな、緊張した顔をしていた。笑い声がどこかで起きても、すぐに沈黙に押し殺された。騒げばたちまち部屋の恐怖に襲われると思っているようだった。

 フレッドとジョージは、ソフィアの見舞いにいこうとしたが、医務室は面会謝絶になっていた。

「せっかくだけど、だめです。患者の息の根を止めに、また襲ってくる可能性が十分あります……」

 マダム・ポンフリーは、医務室のドアの割れ目から二人に厳しく言った。何度目かの見舞い希望を断られ追い返された二人は、素直に引き下がった。

「ダンブルドアもいないんだから、怪物も大手を振るって歩いてくるだろうしな」ジョージは腕を組んでウンウンと唸った。

「俺たちが確認する必要があるよな。誰も忍び込めないセキュリティになってるかどうかをさ」

 フレッドがニヤリと笑って言った。いつもの調子をいくらか取り戻していた。

「今夜だな」ジョージがニヤリと笑った。

 グリフィンドールの談話室は、混み合っていた。六時以降寮を出ることが禁じられている上、安全な場所であれば話したいことは全員山ほどあるらしかった。その結果、談話室は、真夜中過ぎまで人がいることが多かった。フレッドとジョージも真夜中まで残っている常連組だった。今日はさらに夜が更けてから行こうとフレッドとジョージは作戦を立てていた。

 ハリーとロンがやけにそわそわした様子で椅子に腰掛けていたので、フレッドとジョージは「爆発スナップ」に誘った。ジニーは、沈みきった様子でそれを眺めていた。

 十二時を過ぎたあたりで勝負をやめて、フレッドとジョージは寝室に戻った。同室のリーは既に寝ていて、いびきをかいていた。全員寝ていることをきちんと確認してから、フレッドは忍びの地図を開いた。

「おいおい」フレッドは呆れて声を上げた。

「どうした?」

 ジョージが聞いたので、フレッドは答える代わりに地図を渡した。ジョージが地図を見つめたのち、目を丸めた。

「あいつら、抜け出してどこに行く気だ?」ジョージが素っ頓狂な声を上げた。

 地図の上では、ハリーとロンの名前が書かれた点が二つ、談話室を出て城の中を彷徨っていた。不思議なことに、何人も先生のすぐそばを通り過ぎているのに気付かれていないようだ。二人は間も無く玄関ホールを出ようとしていた。

「こいつは匂うな」フレッドは言った。

 なにせ、ハリーは去年も騒ぎの渦中にいた。何かしでかすつもりだろうか。フレッドもジョージも寝室を出た。談話室は静まりかえって、誰もいない。

 音を立てず、こっそりと廊下を忍足で歩き、角を曲がる前に必ず地図で先生と鉢合わせしないのか確認をした。引き戸の陰とタペストリーの裏の隠しドアを二度通り抜け、五階の鏡の裏の抜け道を使った。ホグズミードまでつながる道だが、今回は途中の温室の近くの井戸に出る出口から外へ出た。

 地図には、ハリーとロンがハグリッドの部屋に着いたことが書かれていた。フレッドとジョージは急ぎ足で小屋に着くと、ハリーとロンがファングというハグリッドが飼っている大型犬を連れて出てきたところだった。

「わざわざ真夜中に犬の散歩か?」

 ジョージが話しかけると、ハリーとロンはあんぐりと口を開けて固まった。ファングだけ飛び跳びはね、森の入口までダッシュし、楓の大木の下で脚を上げ、用をたした。

「その、これは……」ハリーはもごもごと言い訳しようとした。

「二年生二人で今の時期に夜中に出歩くってヤバいぜ」ジョージが肩をすくめた。「ロンの杖はポンコツだしな」

「何しようとしてたのか言わないなら、マクゴナガルを叩き起こすぞ」フレッドが茶化して付け加えた。

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