▼ マッキノン家の秘密6
クリスマスディナーはとても豪華だった。三人で七面鳥を丸々一羽食べるのは大変だった。ソフィアは、ヴィシソワーズスープを二杯も飲んだ。
ソフィアもクレアもドウェインも、昨日の暗い雰囲気は引きずらなかった。ただし、食事の前のお祈りでクレアが「ソフィアが事件に巻き込まれず、健やかに学校生活を送りますように」と言ったのでドキリとした。
クレアとドウェインは、未だかつてないほどお酒をがぶ飲みした。ソフィアは、二人が口が軽くなってきた頃合いを見計らって会話を切り出した。
「ねえ、秘密の部屋について、なんで二人とも知っていたの?」
ソフィアは興味を隠しきれずに切り出した。
「闇祓いの管轄だからよ。いずれ動くかもしれないわ」
クレアがワインを飲みながら言った。
「いい? 五十年前にも似たような事件が起きたと記録として残っているのよ。その時は、死者も出たの」クレアが目を伏せた「可哀想に。だから彼女も未練があって留まってるんだわ」
「留まってるって?」ソフィアは首を傾げた。
「なんでもないわ」クレアがハッとしたように言った。
「じゃあ、犯人は捕まったの? 誰だった?」ソフィアは興味津々で身を乗り出した。
「捕まったわ。誰かは極秘よ」
ソフィアは、一度夢で見た男の子を思い出した。
「捕まえたのは誰?」
「いいえ、驚くべきことに当時学生だったみたい」クレアがソフィアの好奇心に勘付いたのかピシャリと言った。「くれぐれも、事件に首を突っ込もうなんて愚かな真似はしないと誓って頂戴」
「それにしても、既にマグル生まれが二人も襲撃されてる。私たちが現場入りしてもおかしくない事態よ」クレアが首を振った。「なぜ、ダンブルドアが介入を止めるのか理解できないわ」
「そりゃ、僕らのボスがコーネリウス・ファッジだからさ。あいつは金と権力に弱い上に、最近マルフォイの動きがきな臭い」
ドウェインは上機嫌にエッグノッグをがぶ飲みした。時間が経つにつれて、どんどん声が大きく、どんどんお喋りになった。ドウェインがこんなに酔っ払う姿を、ソフィアは初めて見た。
「そういえば、先週パパはマルフォイ家を家宅捜査してやったぞ」
ドウェインが、ソフィアに自慢した。武勇伝のつもりらしい。ダイアゴン横丁での一件を根に持っていることは、明らかだった。ソフィアは興味を惹かれたように続きを促した。
「ドウェイン、やめなさいよ」クレアが嗜めた。
「はっはー! あの時のルシウス・マルフォイの青ざめた顔と言ったら!」ドウェインはワインを更に煽った。「あれで、闇の魔術の道具を見つけられたら、最高だったんだが」
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