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▼ マッキノン家の秘密2

「いい? 気をつけて過ごしてね」

 ソフィアの言葉に、ジニーは少し神妙な顔をして頷いた。

「あのね、 ソフィア……」

「 ソフィア! そろそろ馬車が出ちまうぞ」

 ギリアンが玄関からやって来る。

「よお、チビ。元気か」

 ギリアンは、ジニーを見つけるとにこやかに手を振った。

「先に行ってて」ソフィアはジニーをジニーを振り返った。「どうしたの?」

「ソフィアも気をつけてって言おうとしただけ。また休み明けにね」

 ジニーは笑みを浮かべた。

「有難う。他のみんなにもよろしくね」

「特にフレッドに、でしょ?」

 くすくすと悪戯っ子のように笑うジニーに、ソフィアはコラッと言って軽く頭を叩く。ジニーは笑いながらソフィアの手から逃げると、バイバイと手を振った。いつも通りだと安堵しながらソフィアは手を振り返した。

「ほら、あの子も待ちくたびれちゃったって言ってるわ」

 馬車の近くでレティ達が待っていた。ドラゴンのような馬を指さして笑いながら言った。

「あなたは見えてないから「あの子」なんて言えるのよ。ちょっと不気味なのよ」

 ソフィアは、レティに指をさすことを止めてほしいと思った。あの濁った眼が、此方を向いたらどうしてくれるというのだろう。ソフィアは足早に馬車に乗り込んだ。馬車にはすでにセドリックが座っていた。

「帰れてよかったわね。もしソフィアのご両親が忙しかったら、家に招待しようと思ってたの」レティが言った。

「俺の家でもいいぜ? シャフィク家の豪邸と比べたら、豚小屋みたいな場所だけどな」

 ギリアンがふざけたように付け足した。ソフィアは豚小屋と聞いて、失礼なことに隠れ穴を思い出した。あの石造りの変わった家は、元々豚小屋だったか、素人が見よう見まねで作ってみたような外観だった。今年は、ウィーズリー家の兄弟は全員ホグワーツに残っているし、ウィーズリー夫妻はエジプトまでビルに会いに行くらしい。

 ソフィアは、セドリック達と宿題について話しながらキングズクロス駅まで過ごした。誰も、秘密の部屋の事件について話しださなかった。マルタはマグル出身で、その上人種も違ったので、秘密の部屋で最近特に気が滅入っている様子だったからだ。

「みんな、また休み明けにね」

 ソフィアが四人にハグをしながら言った。駅には、クレアとドウェインが待っていた。ソフィアが近寄ると、クレアとドウェインは酷く心配していたのか、ソフィアを強い力で抱きしめた。

「とっても心配していたのよ」クレアが言った。

「事件に巻き込まれなくてよかったよ」ドウェインが安どのため息を漏らした。

 クレアとドウェインは、駅にいる他の生徒の両親よりも事件を深刻にみていることは明らかだった。もしかすると、二人は闇祓いなので、秘密の部屋について何か知っているのかもしれない。ソフィアは首を傾げた。

「よし、今日はごちそうを用意しているんだ。早く帰ろうか」ドウェインが楽しそうに言った。

 ソフィアはドウェインと手をつないだ。ぎゅんと、体の中心から引っ張られるような感覚がする。周囲の景色が渦を巻き、ソフィアは目を閉じた。

 森の中にひっそりとある家は、夏は蔦が覆っていたが、今は雪に覆われていた。ドウェインとクレアが用意したのだろうか。妖精や動物を模した雪像が庭のあちこちに立てられていた。

「これ、パパとママが?」

 ソフィアは声を弾ませて聞いた。

「ああ。気に入ったかい?」ドウェインが楽しそうに目を細めた。

「せっかくのクリスマスだもの。ここにマグルは滅多に来ないしね」

 クレアが茶目っ気たっぷりに言うと、風邪をひいてしまうからとソフィアの背中を押して家に入るよう促した。


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