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▼ 決闘クラブ6

 翌朝、雪が大吹雪になり、午前中の薬草学は休講になった。セドリックとソフィアは、スプラウト先生のマンドレイクに靴下を履かせる作業を手伝うことになった。昨日の夢が頭から離れなかったので、ソフィアには有り難かった。

 セドリックが掴んだマンドレイクが、靴下を履くものかと大暴れしている。セドリックが無理やり毛糸の靴下に押し込む姿を見て、ソフィアは笑った。耳当てをしているので互いの声は聞こえない。黙々と泣き喚くマンドレイクに靴下を履かせ、マフラーを巻いていく。

 ミセス・ノリスやコリン・クリービーを蘇生させるためにも、ハッフルパフの低学年たちの鬱々とした雰囲気を吹き飛ばすためにも、マンドレイクは一刻も早く育って欲しいとソフィアは思った。

 作業が終わり、スプラウト先生がソフィアとセドリックにそれぞれ十点、結果としてハッフルパフに二十点も与えた。ソフィアとセドリックはハイタッチを交わし、土臭いが温かい温室を出て、大吹雪の中城へと急いだ。

 途中で、城の前の雪が一段と深く積もっている場所に気付かず足をハマらせたソフィアのために、セドリックは雪をインセンディオで溶かしてくれた。セドリックは、うっかりソフィアを燃やさないように最新の注意を払わなくてはいけなかった。

 体の芯から凍えるように寒い。石壁の廊下は、外よりも寒いような気がした。ソフィアが歯をガチガチと鳴らしていると、セドリックが炎を閉じ込めた瓶をポケットから取り出した。

「いいの?」

「勿論だよ、凍え死なないようにね」

 セドリックが茶目っ気たっぷりに笑うので、ソフィアもつられて笑った。沈黙が場を包み、ソフィアは恐る恐る昨日の話を切り出した。昨日の夢で、怪しげな部屋にいたハリーを見てから、彼が継承者ではないと笑い飛ばせなくなってしまった。

「ハリーが継承者って噂、どう思う?」

 ソフィアが聞いた。セドリックは驚いたように目を丸めてソフィアを見た。

「ソフィア、まさかハリーが継承者だと思ったの?」

「ううん! そんな事ないわ」ソフィアが自信なさそうに付け足した。「でも万が一があるんじゃない?」

「パーセルマウスだって、もし去年その能力を知ってたらさすが生き残った男の子って皆言ってたと思うんだ」

 セドリックが言った。

「それに、去年話してみて、差別で人を攻撃するような子に思えなかった。ソフィアは、僕よりハリーと仲が良いから、彼が人を襲わせようとするかどうか分かるんじゃないかな……ソフィアはハリーがコリン・クリービーを襲わせるように見える?」

 ソフィアは慌てて首を振った。ソフィアはずっとハリー・ポッターのファンだった。去年は友達になり、ソフィアはもっと彼を好きになった。

「する訳無いわ」ソフィアが言った。

「ソフィアが言うんなら、そうなんだろうね」セドリックがにっこり笑った。

「襲われた! 襲われた! またまた襲われた! 生きてても死んでても、みんな危ないぞ! 命からがら逃げろ! おーそーわーれーたー!」

 どこからかピーブズの大声が聞こえて来る、暫くしてポッターが生徒を皆殺しと嫌な歌詞が変にいいメロディーと共に聞こえて来る。セドリックが、ソフィアの手を掴む。

「大丈夫だよ」

 言い聞かせるようにセドリックが繰り返す。騒ぎの方へ一緒にけば、青ざめた顔をしたアーニーがいた。

「ソフィア! セドリック!」

 アーニーが叫んだ。

「ジャスティンが! ハリーに襲われた! 現行犯だったんだよ!」

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