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▼ 決闘クラブ2

「よく笑ってられるなあ」

 セドリックが感心したように言った。ソフィアも深々と頷いた。もし、ソフィアがスネイプにあんな顔で見られたら、泣き出すか逃げ出すところだ。

「スネイプ先生がおっしゃるには、決闘についてごくわずか、ご存知らしい。訓練を始めるにあたり、短い模範演技をするのに、勇敢にも、手伝ってくださるというご了承をいただきました。――私が彼と手合わせしたあとでも、みなさんの「魔法薬学」の先生は、ちゃんと存在します。ご心配めさるな!」

「俺たちの「闇の魔術に対する防衛術」の先生は、消えてるでしょう」

 ギリアンが小声で付け足した。スネイプの表情を見れば、スネイプがロックハートを殺そうとしていることは火を見るよりも明らかだった。ソフィアは、ロックハートとスネイプが相打ちになれば今後の学校生活がどんなに素晴らしいものになるだろうかと考えた。

 舞台の上で、ロックハートとスネイプは向き合って一礼した。少なくともロックハートのほうは、腕を振り上げ、大げさにしならせて体の前に持ってきて、大げさな礼をした。スネイプは頭を下げただけだった。

「ご覧のように、私たちは作法に従って杖を構えています」

 二人とも杖を剣のように前に突き出して構えた。ロックハートはしーんとした観衆に向かって説明した。

「三つ数えて、最初の術をかけます。もちろん、どちらも相手を殺すつもりはありません」

 ロックハートの説明に、ソフィアは首を傾げた。スネイプは、唇がめくり上がるどころか、今や歯を剥き出しにいている。どう見ても殺す気だ。

「一――二――三――」

 二人とも杖を肩より高く振り上げた。スネイプが叫んだ。

「エクスペリアームス! 武器よ去れ!」

 ソフィアは、初めてスネイプが格好いいかもしれないと思った。スネイプの杖先から、目も眩むような紅の閃光が走ったかと思うと、ロックハートは舞台から吹っ飛んだ。

 ロックハートは、後ろ向きに宙を飛び、壁に激突した。壁伝いにズルズルと滑り落ちて、床に無様に大の字になった。

 マルフォイやフリントをはじめとした数人のスリザリン生は歓声をあげた。レティの顔は青ざめ、震えた声で「大丈夫かしら」とロックハートの安否を案じていた。

 みんなの視線がロックハートに向いている中で、ソフィアは、スネイプが武装解除の術で手に入れたロックハートの杖を地面に捨てた姿を確かに見た。

「さあ、みんなわかったでしょうね!」

 ロックハートは笑顔だけは元気いっぱいだった。帽子は吹っ飛び、カールした髪が逆立っていた。立ち上がると、よろよろと壇上に戻って行く。

「あれが、『武装解除の術』です。――ご覧のとおり、私は杖を失ったわけです。――あぁ、ミス・ブラウン、ありがとう」

 ブラウンが地面に落ちていた――捨てられていた――ロックハートの杖を差し出した。

「スネイプ先生、たしかに、生徒にあの術を見せようとしたのは、すばらしいお考えです。しかし、遠慮なく一言申し上げれば、先生が何をなさろうとしたかが、あまりにも見え透いていましたね。それを止めようと思えば、いとも簡単だったでしょう。しかし、生徒に見せたほうが、教育的によいと思いましてね……」

 スネイプは殺気立っていた。

「模範演技はこれで十分! これからみなさんのところへ下りていって、二人ずつ組にします。スネイプ先生、お手伝い願えますか……」

「流石に殺気に気付いたわね」

 慌てたように話を切り上げたロックハートを見て、ソフィアが言った。

「そりゃ、歯をむき出しにして睨まれたら気づくのだろうな」ギリアンが呆れたように言った。


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