immature love | ナノ


▼ プレゼント6

 やがて、魔除け、お守りなど護身用グッズの取引が、校内で爆発的にはやりだした。リーアンは悪臭のする大きな青たまねぎ、尖った紫の水晶を買い込んだ。グリフィンドールのリー・ジョーダンから購入したと言っていて、ウィーズリーの双子も絡んでるのではないかとソフィアは頭が痛くなった。

 重苦しい空気を打ち破るように、週末はやって来た。クィディッチの試合だ。早朝、ソフィアはセドリックのところまで行った。

「おまじないかけておいたわ」ソフィアが自信満々にウィンクした。

 靴下を渡せば、セドリックは目を丸めて驚いた後に、嬉しそうに笑った。驚くべきことに、セドリックは靴下をその場で身につけてくれた。セドリックの足元で羽ばたくスニッチを見て、ソフィアは満足そうに頷いた。靴下の金の星の一つをスニッチに変えたことは、とても良いセンスだったとソフィアは自分で自分を褒め称えた。

 ソフィアは、そのまま大広間で赤毛の女の子を探した。今日の試合観戦は、ジニーを無理やり連れて行こうと考えていた。あの熱狂の中にいるだけでも、少しは気分が明るくなるのではないかと思った。

「ジニー!」ソフィアが声をかけた。「今日の試合、一緒に観ない?」

「ソフィア、嬉しいけど、私――」

 ジニーが断ろうとした。ジニーの足は、ソフィアから離れたがってるように大広間の出口を向いていた。

「インカーセラス」

 ソフィアはジニーをロープで縛ると、無理やり競技場へ連れて行った。ハッフルパフの四年生が、暴れるグリフィンドールの一年生をロープで縛って無理やり連れていく奇妙な光景は、すれ違う生徒たちの視線を集めた。ソフィアがなんとか競技場に着くと、レティとマルタ、ギリアンが席を取って待っていてくれた。

「誘拐?」マルタが無邪気に聞いた。

「試合観戦に誘っただけよ」

 ソフィアが何気なく言って、ジニーを縛っていたロープを解いた。ジニーは諦めたようで、おとなしくなった。

「お前も大変だな。俺はギリアン・サマーズだ」

「私、ジニー・ウィーズリーよ」

「ソフィアからよく聞いてるよ」ギリアンは柔らかく笑って、自分の隣を叩いた。「一緒に観ようぜ」

 ギリアンはとても面倒見が良かったらしい。ジニーの隣で、(信じられないことに)自分の鼻を豚の鼻にしたりして、ジニーを大いに笑わせ驚かせた。

 ソフィア、レティ、マルタは驚きで口をぽかんと開けた。ソフィアは、ギリアンが自分を剽軽な姿にするために「七変化」の能力を使っていることはこれまで観たことがない。ジニーがあまりにも落ち込んでいる様子だったからだろうが、初めて会う下級生のためにここまでするとはソフィアは予想していなかった。

 選手がグラウンドに入場した時、会場にわっと歓声が沸いた。フーチの笛が高らかに鳴った。十五人が空高く舞い上がる。試合が開始した。

「あれがセドリックよ」ソフィアが指差した。「仲良いの」

「セドリックって有名よね」

 ジニーが興味を持ったように、ソフィアの指差す先を見た。セドリックがちょうどブラッジャーを宙返りしてかわしたところだった。

 セドリックを通り過ぎたブラッジャーは、レイブンクローのビーター、アデラ・トーマスが打った。ブラッジャーは、ハッフルパフのキャプテンのマイロ・ブラウン目掛けて打たれた。

 ブラッジャーが軌道を変えてセドリックに向かっていかないことに、ソフィアは安堵した。マイロの顔に思いっきり当たったので、安堵もすぐに心配で上書きされた。


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