▼ プレゼント1
グリフィンドール対スリザリンの劇的な試合の翌日、日曜の早朝からソフィアはぱっちりと目を覚ました。布団を蹴り上げるように退けて、ソフィアはすぐに顔を洗いに行った。
今日は、最初のホグズミード行きの日だ。レティたちへ贈るプレゼント選びをしようと、セドリックと一緒に行く約束をしていた。
去年ウィーズリーの双子と行ったことを思い出しながら、ソフィアは自分の髪の毛に杖を当てて丁寧にブローした。レティとマルタも起きて、各々準備を始めている。
「誰と行くの?」
マルタが聞いた。
「セドリックよ」ソフィアは言った。「ふふふ、二人とも楽しみにしておいてよ」
「なんで私たちが楽しみにするのよ」
レティが目をぐるりと回した。ソフィアはプレゼント選びだと言おうとして、すぐにやめた。サプライズどころではなくなってしまう。
「レティとマルタは?」ソフィアが聞いた。
「私たち二人と、ギリアンで行くのよ」レティが答えた。「誰かさんがデートするから、ギリアンが一人ぼっちになっちゃったの」
「言っておくけど、本当にデートじゃないからね」
ソフィアは心外だと言いたげな顔をして、ため息をついた。
「ソフィアにとってはね」マルタが付け足した。「ウィーズリーが嫉妬するよ」
「付き合ってるわけじゃないし」ソフィアがうじうじと言った。「そもそも、誘われてないし」
「ブラッジャーに打たれすぎて、アホになったのよ」
レティが呆れたように言った。
レティの言葉は本当だったと知ったのは、ソフィアたちが朝食を食べに大広間に行った時のことだった。
「ソフィア! 何時に待ち合わせする?」
フレッドが楽しそうに駆け寄ってきた。ソフィアはあんぐりと口を開けた。近くにいたセドリックも、勢いよく振り向いて、ソフィアとフレッドを見た。レティが「ほら、アホになってる」と小声で呟いた。
「フレッド、私あなたと行く約束してないわよ」
ソフィアは呆れ返った。
「おいおい、嘘だろ!」
今度はフレッドがあんぐりと口を開けた。
「じゃあ、誰と行くんだ? 俺とは行かない?」
後半、フレッドは子犬のようだった。
「セドリックと用事があるのよ。いくらあなたでも、当日に言われて、はい行きましょうなんて言えないわ」
ソフィアの返事に、子犬のような姿はどこかに投げさり、フレッドが顔を顰めた。
「ディゴリーと?」
「そう、セドリックと」
ソフィアは頭が痛くなった。フレッドは昔からセドリックが嫌いなのだ。
「次回のホグズミード行きは、一緒に行きましょう」
ソフィアは優しく言った。
「まあ、それなら」フレッドが渋々――ほとんど納得していないような顔で――頷いた。
「ソフィア、大丈夫?」セドリックが気遣わしげに声をかけてきた。「今日、駄目そうかな」
「大丈夫よ」ソフィアは手を振った。「それじゃあね、フレッド」
ソフィアはセドリックの腕を引っ掴んでハッフルパフ生が集まる長テーブルへ向かった。フレッドが文句を言わないうちに退散しなくてはならない。
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