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▼ ハロウィーン・パーティー1

 急激な冷え込みと共に、十月がやってきた。ここ何日も雨が降り続け、湖は水かさを増し、花壇は泥の河のように流れるほどだった。

 雨や気温のせいか、先生にも生徒にも急に風邪が流行した。そのせいで、校医のマダム・ポンフリーは大忙しだった。マダム・ポンフリーが作った「元気爆発薬」はすぐに効くと評判だった。

「ソフィア、機関車みたいだな」

 ソフィアが大広間で昼食を食べていると、フレッドが面白そうに声をかけた。ソフィアも熱と鼻水の症状があったので、先ほど「元気爆発薬」を処方されたばかりだ。

 風邪の症状はたちまち治ったが、薬のせいで、今も耳から煙を出し続ける羽目になっている。ギリアンたちも最初はソフィアを揶揄ったが、一時間も経てば飽きたようだった。

「風邪引いちゃったの」ソフィアは言った。

「もう治ったのか?」

 フレッドが少し心配そうな顔をした。

「元気爆発薬のお陰で、もうすっかり」

 ソフィアが力瘤を作って見せると、フレッドが「よかった」と笑った。

「ジニーも飲んだんだけど、逆に落ち込んじゃってさ」フレッドが肩をすくめた。「最近ずっと具合が悪そうだったから、パーシーが無理やり飲ませたんだよ」

 いくら心配でも、無理やり飲ませるなんて! フレッドの言葉を聞いて、ソフィアは呆れたようにため息をついた。燃えるような赤毛の下から煙がもくもく上がって、恥ずかしがるジニーの姿が目に浮かぶようだった。

「精神的なものかもしれないわね」ソフィアが心配そうに言った。「学校にまだ慣れてないのかも」

「気にかけてやってくれよ」フレッドが言った。

「ええ、もちろんよ!」

 ソフィアは力強く頷いた。今気づいたように、ソフィアはフレッドをまじまじと見つめた。クィディッチのユニフォームを着ている。大広間の天井は、今日も雨だ。外では銃弾のような大きな雨粒が降り注いでいる。

「今日も練習?」

「そうなんだよ」フレッドがうめいた。「ウッドの燃えようは、雨でも湿らないぞ。お陰でこっちは毎日ずぶ濡れさ」

「フレッドなら、雨なんかに負けないでしょ」

 ソフィアはにっこりと微笑んだ。

「当たり前だろ」フレッドは目をぐるりと回した。「そういう問題じゃないんだけどね」

「そういえば、ニンバスは折れそう?」

 ソフィアが茶化して聞くと、フレッドは肩をすくめた。

「そのためにも、今日の夜はジョージと偵察さ」フレッドが考えるように言った。「新型の速さを見ておこうと思ってな」

「私も行ってみてもいい?」ソフィアは興味を引かれたように、フレッドを見上げた。

「雨が止んで、防寒しっかりするならな」フレッドが微笑んだ。「耳から煙出したままよく言うぜ」

 フレッドが、ソフィアの両耳を触った。煙が出ていることを揶揄っているらしい。ソフィアは、まるで顔を手で包み込まれたような気がしてしまい、狼狽えた。

「完治したわよ」

 ソフィアは早口で言った。フレッドに、早く手を離してほしかった。距離が近いとどうしても落ち着かない。ソフィアの視線は、落ち着きなく左右を行き来した。

「それは、ドーピングって言うんだよ」

 フレッドが目をぐるりと回して、手を離した。無理するなと念押しして、フレッドはグリフィンドールのテーブルに歩いていった。


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