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▼ 真夜中のドライブ4

 ソフィアはこれからフレッドたちと行うことを思うと、申し訳なさでウィーズリーおばさんの顔を直視することができなかった。親の違法改造の車に乗ってマグルの街へ行くだなんて、監督生になるどころの話ではない。

「ねえ、ソフィア。ホグワーツの話を聞かせて。ハッフルパフってどんなところ?」

 ジニーが興味津々に聞いた。ウィーズリー家は全員がグリフィンドールに組み分けされているので、他の寮が気になるのだろう。

「私の寮にはね、これでもかってくらい沢山の魔法植物が置いてあるのよ……」

 ソフィアは出来るだけ面白おかしくハッフルパフでの生活を話した。

「ローブだけど、私のお古でよければ使わない? すぐ身長が伸びちゃって、ほとんど着てないやつがあるの」ソフィアは切り出した。

「いいの?」ジニーが恥ずかしそうに俯いた。「ありがとう」

「うん。勿体無いってママも悲しんでたから」ジニーが負担に感じない様に、ソフィアは出来るだけ言葉の選び方に気をつけた。

「そういえば、魔法薬学の宿題やったか? 教えて欲しいんだけどさ」

 フレッドが言った。ウィーズリーおばさんは信じられないものを見たような顔をした。フレッドはもっといい言い訳を思いつかなかったのだろうかとソフィアは思った。ホグワーツに入学してからただの一度も、フレッドから宿題の相談なんてされたことがない。

「いいわよ、フレッドの部屋に行きましょう。おばさん、ご馳走様でした!」ソフィアは平静を装って言った。

「フレッドちゃんから宿題なんて言葉が出るなんて! 後で紅茶を持っていきましょうか?」おばさんが上機嫌に言った。

「別にいらないよ」

 フレッドは首を振ると、ソフィアの腕を引っ張って立たせた。ソフィアはフレッドに引っ張られるがまま、一段ごとに高さが違う階段を登って、フレッドの部屋へ行った。

 夜、月が空高く上った時、ソフィアたち四人はこっそりと車庫に行った。車庫には、トルコ色の旧式な車が停まっている。フレッドが運転席に乗り込み、助手席にはジョージが座った。ソフィアは、ロンと共に後部座席に乗り込む。

「さてと、出発進行だ」

 フレッドが慣れた手つきで運転席のエンジンをつけるので、ソフィアは常習犯に違いないと確信した。フレッドは計器盤の小さな銀色のボタンを押した。乗っている車が消えた――自分たちも消えた。

 体の下でシートが震動しているのを感じたし、エンジンの音も聞こえた。手を膝の上に置いていることも感じていたが、見える物は、隠れ穴を囲む果樹園だけだった。

「行こうぜ」

 前の方からフレッドの声だけが聞こえた。 車は上昇し、森がどんどん小さくなっていく。数秒後、近くの村全体が、眼下に広がった。 森が黒いシミの様に見え、黒いパッチワークのようだ。その時、ポンと音がして、車とソフィアたちが再び現れた。

「透明ブースターはいいの?」ロンが聞いた。

「夜だし、曇ってるから平気さ」ジョージが肩をすくめた。

 フレッドがアクセルを踏み込むと、車はまっすぐに、低くかかった綿雲の中に突っ込んだ。あたり一面が霧に包まれた。

「ハリーの家は、そろそろだと思うんだけどな」

 計器盤のコンパスで方角を確認しながら、フレッドが言った。もう一度透明ブースターを押して、住宅街の方へと高度を下げていく。

「まさか、あの家じゃないわよね?」

 ソフィアが恐る恐る指差した先は、豪華な二階建ての家だ。一部屋だけ窓に鉄格子が嵌められていて、明らかに住宅街の中で浮いていた。

「怪しいな、覗いてみるか」ジョージが言った。


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