▼ 混乱薬4
最後の試験科目が終わると、さんさんと陽の射す校庭に、ワッと繰り出した生徒の群れに加わる。その中には、ハリーたちもいた。
「ハリー、久しぶり」
「火傷してたって聞いたけど、大丈夫だった?」
お見舞いに行けなくてごめんねとハリーは申し訳なさそうに付け足した。以前、五十点減点された時よりも憔悴して見える。ソフィアは訝しみ、湖までブラブラ降りて行く三人について行った。ウィーズリーの双子とリー・ジョーダンが、暖かな浅瀬で日向ぼっこをしている大イカの足をくすぐっていた。
「いったいこれはどういうことなのかわかればいいのに! ずーっと傷がうずくんだ……いままでも時々こういうことはあったけど、こんなに続くのは初めてだ」
ハリーは額をこすりながら、怒りを吐き出すように言った。
「その傷跡、今も痛むのね」
ソフィアが心配そうに表情をゆがめた。ハリーはソフィアに力なく首を振る。
「マダム・ポンフリーのところに行った方がいいわ」ハーマイオニーが言った。
「僕は病気じゃない。きっと警告なんだ……何か危険が迫っている証拠なんだ」
ハリーは否定したあと、ちらりとロンを見たか、ロンは寝転んだまま反応しない。何しろ暑すぎるのだ。
ハリーは突然立ち上がった。
「どこに行くんだい?」ロンが眠たそうに聞いた。
「いま、気づいたことがあるんだ」
ハリーの顔は真っ青だった。
「私もついて行こうか?」
ソフィアが心配になって声をかけたが、湖の方からウィーズリーの双子がソフィアを呼んだ。ハリーはついてこなくていいと断ると、ソフィアが双子の元へ行くよう誘導した。
ソフィアはハリーのただならぬ様子を若干気にしながら、フレッドたちのもとへと向かった。
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