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▼ クリスマス休暇3

 クリスマスの朝、ソフィアはいつもより早く目を覚ました。キョロキョロと辺りを見回す。

「メリークリスマス!」

 言ったところで返事はないとわかっていても、ソフィアは言わずにはいられなかった。ベッドの足元にはプレゼントの山だ。ソフィアは一人で小さく喜びの声をあげ、プレゼントの山に飛びついた。最初に見慣れた包みがあり、開ければクリスマスカードとともにウィーズリー家特製セーターが入っていた。青に黄色でソフィアのイニシャルが書かれている。ソフィアはパジャマのシャツの上からすぐにセーターを着た。ウィーズリーおばさんは毎年編み物を贈ってくれるので、ソフィアはとても楽しみにしていた。

 次に開けたのは両親からの大きなプレゼント、開ければ小さめの、肩からかける茶色の革のカバンだ。四角い形で、ボタンで留める形だった。中を覗き込めば、まるで巨大な登山リュックのように中が広い。(サイズに対して容量が全く適正ではなく、肩こりを助長させることは誰が見ても明らかだった。)数泊分の荷物や魔法道具を入れられそうだった。空間拡張の魔法がかけられているのかもしれない。ソフィアは鞄の中に腕がまるまる入ることに驚いて目を丸めた。

 フレッドとジョージからは噛みつきフリスビーとクソ爆弾。セドリックからのクリスマスカードは開くとオルゴールが鳴った。それに加えて、砂糖羽ペンに綿飴羽ペンを贈ってくれた。レティからは可愛らしいブレスレット、ギリアンは勝手にシャッフルするトランプ、マルタは大量のマーズバーチョコレートだ。マグルのチョコレートは、魔女であるソフィアは滅多に買う機会がないので手に入っても勿体なくて中々食べられない。これだけあれば、暫くは我慢せずに食べられそうだとソフィアは笑みを浮かべた。

 プレゼントの中には、種類はよくわからないが鳥かごに入れられた鷲もいる。アスター家の親戚は皆、血筋にはある程度寛容ではあるが、変わり者と見栄っ張りが多く、周りが渡さないだろう個性的なプレゼントをよこす人が多かった。

 鷲の種類は同封されていた手紙にはイヌワシと書かれていた。校則は鷲をペットにすることを許可していない。どうすればいいのだろうと鷲を見つめるが、焦げ茶色の精悍な鷲は黄金の目で此方をじっと見据え首を傾げるだけだ。ソフィアが恐る恐る他のプレゼントにあったふくろうフーズを与えれば少し物足りなさそうではあるが食べてくれた。

「やっぱり同じ猛禽類だものね……」

 他の親戚からのプレゼントを開ければファルコンリーグローブまで入っていて、示し合わせたように鷲を飼うためのものは一通り揃うようになっていた。プレゼントの開封作業も、楽しさの余韻どころか呆然としたような気持ちが大きい。親戚ぐるみで校則を破らせたいらしい。

 貰った初めてのペットであるこの鷲を突き返す気にも、野生に返す気にもならない。むしろ落ち着いてくると、ソフィアは喜びで叫び出したい気分になった。念願のペットだ! 早速グローブをはめ、鳥かごを開けてみればヨタヨタと歩み寄ってくる。羽ばたく姿を想像したものだったから、ソフィアは思わず笑った。

「あなたはガニメド。ソフィアよ。よろしくね」


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