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▼ ホグズミード村3

 学期の最後の週末、ホグズミード行きが許可された土曜日がやってきた。クリスマスの装飾にそわそわしていた生徒たちは、もはや興奮を隠せないといった様子で大喜びだ。まだホグズミードには行けない一年生と二年生(それと、O.W.LやN.E.W.Tを控える顔が奇妙に青白くなった一部の上級生)は羨ましそうにしている。

 地下にある寮から玄関ホールへ出てきたソフィアは、混みあった玄関ホールで周囲を見回した。この人混みでも、赤毛は目立つ。ソフィアが手を振ると、双子は気が付いたらしく手を振り返してからソフィアのいる方へと寄ってきた。

「ちゃんと来たようだな、アスターくん」

「それでは、我々の人質と君の人質交換しよう」

 玄関ホールに立っている赤毛ののっぽ二人組はソフィアのもとまで来ると、わざとらしく畏まった口よりでゴホンゴホンと咳払いしながら言った。そんな様子にぐるりと目を回し呆れながらソフィアがマフラーを渡せば、フレッドが手袋を返してくれる。マフラーを外した途端襲う冷気にソフィアはぶるりと肩を震わせた。自分のマフラーを持ってこないとは何て馬鹿だったのだろうかと、ソフィアは寒くなった自分の首元にため息をついた。

 外は幸運にも晴れていて、ホグズミードまでの道のりは少しばかりの寒さに身をすくめているだけで済んだ。道には雪は積もっているが、今朝雪かきされたばかりなのか積もっている量は僅かだった。双子がわざとらしく「手つないだ方がいいかい?」「おんぶしてやろうか?」とソフィアが転ばないかと心配するふりをして揶揄うものだから、ソフィアは自分の怒りのオーラだけで残りの雪を溶かせるのではないかと思った。

 ホグズミードは、まるで絵本かクリスマスカードの中の世界に迷い込んでしまったと錯覚を起こすかのような街並みだった。茅葺屋根の小さな家が立ち並び、店を覆う雪はキラキラと輝くように魔法がかけられているようだった。

 立ち並ぶ家の全ての戸口にはヒイラギのリースが飾られていて、木々は魔法でキャンドルがくるくると巻き付けられていた。何故燃え移らないのだろうとソフィアは興味を惹かれたが、一緒に来ていたフレッドとジョージはゾンコの店を探すことに夢中だ。ゆっくり歩こうとするソフィアを無理やり引っ張って、フレッドとジョージはゾンコの店に駆け込んだ。

 店内は非常に混雑していて、ホグワーツ中の男子学生を詰め込んだのではないかとソフィアは思った。壁一面、目に痛い赤地に黄緑色の装飾がされていてた棚で埋め尽くされている。棚には、臭い玉やくそ爆弾、しゃっくり飴がこれでもかと積まれていた。フレッドが早速両腕で持てるだけくそ爆弾を抱えているが、彼は今日一日くそ爆弾を持ったままホグズミードをまわるつもりなのだろうか。

 リーも彼女らしき女の子を連れて来ていた。他の寮の生徒に詳しいわけでもないので、ソフィアはリーが誰を連れているのか分からなかった。フレッドとジョージが口笛を吹いていたので恐らくグリフィンドールの子なのだろう。

「早速リーにヒューヒュー飛行虫を買ってやろう」ジョージが、リーと女子生徒をにやにや見ながら言った。

「あっ! ちょっと待ってよ、ジョージ」

 ジョージが人混みの間を縫うようにして先に行ってしまったが、すぐに人の波に飲まれ見えなくなってしまう。フレッドとソフィアは顔を見合わせ、ジョージを探しにヒューヒュー飛行虫の置いてある棚に行ったが既に姿はない。フレッドは自分の片割れが行方不明になったことは気にならないらしく、レジに行こうと言ってくそ爆弾を買いに行ってしまった。

 買い物袋を持って戻ってきたフレッドは、ソフィアに向かってジェスチャーで外を指さした。確かに、この混雑した店では探すのは無理だろう。ソフィア達は早々にジョージを探すことは諦め外へ出た。外は晴れているといえども寒く、ソフィアはフレッドのマフラーを恨めしそうに見るがフレッドは気づかないのか気づいていないフリをしているのか(きっと後者だ。)寒そうに手をすり合わせながら小さな居酒屋を指差した。入口に、三角形をつくるように箒が三本飾られている。前にトンクスがお勧めしていた三本の箒というパブはここだろう。


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