immature love | ナノ


▼ 勝利のお祝い3

「今日はスリザリン戦だぜ」ジョージが言った。

「勝った時にお祝いするって約束忘れちゃいないだろうな」

 ニヤニヤと悪戯な笑みを浮かべながらフレッドが言う。その表情はどこにも負ける要素がないと言いたげだ。ソフィアは笑いながら頷いた。

「私ができる範囲でお願いよ」

「ああ! なんて慈悲深い!」

「その心の広さはしもべ妖精にも匹敵する事でしょう!」

「で、本題はなんなの?」

 ソフィアが呆れたように聞くと、フレッドが頭をかき混ぜながら、少しだけ恥ずかしそうに切り出した。ジョージもなんとなくむず痒そうだ。

「来月、ホグズミードに行けるだろ。その時俺たちと行かないか」

「ソフィア、ホグワーツ入ってから寮が違うから一緒にいる時間が格段に減っただろ?」

「汽車で一緒に乗らないって言われたのショックだったんだぜ」

 ソフィアは目を丸くした。双子とは、それはもう小さい頃から当たり前のように一緒にいたが、寮が違うことによる寂しさを彼らも同じように感じていてくれたのかもしれない。汽車に乗らなかったことも気にしていたなんて、思いもよらなかった。

「むしろそれって……お祝いっていうより、私にもご褒美みたいだわ」

 謝るのも違う気がして、ソフィアは自分も同じだとなんとかさりげなく伝えようとした。双子にはお見通しのようで、同じタイミングでそっくり片眉を上げた。

「なら、それで決まりだ」

「ハッフルパフのお優しい友達と行くからやっぱ無しなんて通じないからな」

 立ち去った彼らに手を振っていると、フレッドが何か思い出したように戻って来た。

「これ、寒いし巻いとけよ。今日はグリフィンドール生なんだから」

 フレッドがそう言ってマフラーをソフィアの首に巻きつけた。何故か少しだけ焦げ臭い。また何か実験でもして爆発させたのかと想像し、(幼馴染の突然の行動への照れ臭さもあって)ソフィアはくすくす笑った。知らぬ間に観客が増えていたようだ。気がつけば最上階はソフィア以外一年生で占拠され「ポッターを大統領に」なんて書かれた大きな旗まで掲げられている。すぐ近くの席に、見慣れた赤毛の男子もいた。

「あら、ロニー坊やじゃない」

「やっとお気付きのようですね」

 ロンが少しうんざりしたように言った。

「フレッドと仲良くするのはいいけど、僕の前でいちゃつかないでよ。来年の夏休みとか特にね」

「気づいてないみたいですけど」ソフィアは呆れたように目をぐるりと回して、芝居がかったように言った。「さっきまでジョージもいたのよ」

「そのマフラーはフレッドのだろ?」

「ほら! 選手入場だわ!」

 あからさまに話を逸らせばロンはわざとらしくため息をついた。「フレッドもフレッドだよ」なんてぼやきが聞こえてくる。ソフィアは早くも、何でこの席を取ったんだろうと後悔していた。試合は順調で、グリフィンドールが先取点を決めた。歓声がグリフィンドールの客席で上がる。声で空気が揺れた。もう五分以上経っている。どうやらソフィアの夢とは違ってしっかり試合観戦できそうだ。

「ちょいと詰めてくれや」

 ハグリッドの声に振り向くと、ロンとハーマイオニーがぎゅっと詰めてハグリッドが座れるようにしていた。ハグリッドもハリーの試合を応援に来たのだろう。ソフィアは彼とハリーがダイアゴン横丁にいるところを目撃している。ハグリッドは双眼鏡を大きなポケットから取り出した。


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