immature love | ナノ


▼ ハロウィーン5

「多分泣いてた女子ってのはグレンジャーだな。ロンと相性悪そうな子がいるんだ。リトル・パースみたいな子だよ」

「ああ……」

 それはロンとも合わないだろうとソフィアは頷いた。パーシーのことはソフィア自身も苦手に思っていたのだ。真面目すぎる性格は時に人の輪を乱すものだ。しかし、それはそれだとソフィアは見つけた赤毛の方へと突進した。フレッドは弟の危機を気にする素ぶりも見せず、楽しそうについてくる。

「ロニー、ちゃんとあの後謝ったの?」

「謝ろうにも、トイレに篭ってて出てこないんだ。でも、ちゃんと謝ろうと思ってたさ」

「なら良いんだけど」

 ロンはしかめ面をして「確かに僕も言いすぎたけど、あいつだって悪いんだ」と言った。ソフィアは「私だって貴方が全部悪いだなんて思ってないわよ」と肩をすくめる。

「解決して何よりだな、ソフィア。さて、トリックオアトリートだ」

 話は解決したとばかりに前に出てきたフレッドに思わず脱力した。ずっとソフィアの後を付いてきたのは、これが目的だったからに違いない。ローブのポケットに手を突っ込むが、もう何も包んでいない包装紙ばかりでお菓子は見当たらない。

「持ってないわ、売り切れよ」

 起こりうる悪戯に背筋を震わせ、一歩二歩と後ずさるソフィアに対し、笑みを深めたフレッドはその差を埋めてくる。片手をポケットに入れているのだから恐ろしいことこの上ない。クソ爆弾か、カエル卵石鹸か、それとも……。一体どんな恐ろしいイタズラを考えてるのだろうか。

「アクシオ」

 予想外にもポケットから出てきたのは杖だった。杖が振られ、ギュンとフレッドの方へ引き寄せられる。ソフィア自身が引き寄せられてるのではなく、ローブが呼び寄せられたらしい。ローブに引っ張られ、足元が覚束ず倒れこむ。倒れ込んだ先でフレッドが支えてくれたおかげで転ばずには済んだのだ。すぐ近くにあるフレッドの顔や、グリフィンドールとレイブンクローのテーブルから沢山の視線が集中してることが痛いほど伝わり、ソフィアは羞恥で顔を上げられなかった。

「いたずら完了」

 楽しげなフレッドの声が耳元で響き、真っ赤になってるソフィアの顔を見て笑う。これで君も噂の的だと意地悪げに笑うと離れていった。しばらく呆然とフレッドを見送る。

「ねえ、僕たちもいるんだけど」

 ロンが吐きそうな声で言った。じとりとした目でこちらを見るロンと、びっくりして目を丸く開いたハリーと目が合う。我にかえったソフィアが慌ててハッフルパフのテーブルへ戻るまで、グリフィンドールのテーブルから幾つもの視線が突き刺さる。それも仕方ないことなのかもしれない、なにせフレッドはグリフィンドールの有名人なんだから。ハッフルパフのテーブルに戻ったソフィアに、ギリアンは「なんでそんなに赤いんだ?」とニヤニヤしながら聞いた。ソフィアは答える代わりにギリアンの肩を強めに叩いた。

 ご馳走が突如金色の皿にご馳走が現れたにも関わらず、ソフィアはいまだに放心状態で席のすぐそばに立っている。レティが甲斐甲斐しくソフィアの皿に皮付きポテトやグラタンをよそった。何があったか聞かないあたり一部始終を見ていたのだろう。


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