immature love | ナノ


▼ おかしな時間割6

 選抜にしては呆気ないもので、セドリックは同じ組だった上級生をものともせずゴルフボールをキャッチした。ソフィア達は歓声をあげ互いに抱きつき、ギリアンでさえ嬉しそうな雄叫びをあげて立ち上がった。箒に乗ったまま回転したセドリックがこちらに向けてボールを見せる。その様子にひときわ大きな歓声をあげ、ソフィア達は喜んだ。セドリックと同じグループにいた上級生の友達もみんな「やったな」「明日頑張れよ」と口々に応援してくれた。

「横断幕のお陰かな」

 照れ臭そうにコチラヘやって来たセドリックは頬をかきながら笑った。ギリアンを筆頭に次々とセドリックに抱きついていく。もみくちゃにされ、遠目にはセドリックがいることなんて誰も分からないだろう。

「まだ、明日もあるんだから喜ぶのは早いよ。でも、横断幕が無駄にならないよう頑張るつもりさ」

 セドリックは楽しそうに笑った。
 
 翌日の選抜試験は、練習用の金のスニッチをもっとも早く見つけることだった。それが驚くべきことにあっけないほど簡単にセドリックが捕まえたのだ。マルタを先頭に五人で笑いながらホグワーツの校歌を歌い校庭を横切って行く。

 まだ朝早い時間だ。朝食はたっぷり残っているはず。今日の気分はスクランブルエッグだとセドリックに話しながら、ソフィアたちが玄関ホールに差し掛かったところで、見慣れた赤髪が見えた。ロンとハリーが、揉めているようだ。

 ハリーはロンと一緒になにやら細長い棒を持っていて、ブロンドを丁寧に撫で付けた青白い顔の男の子がガタイのいい男の子二人を従えて突っかかっている。レティが「マルフォイだわ……」と嫌そうに呟いたのでソフィアは彼が誰だか漸く分かった。聖二十八一族の一つで、確か純血主義の筆頭だ。残念なことに(ソフィア個人としては非常に喜ばしいことに)過激な純血思想を持つ魔法族とアスター家は絶縁状態なので、マルフォイ家の子供を実際に見るのは初めてだった。

「今度こそおしまいだな、ポッター」

「何がおしまいだっていうの?」

 マルフォイの声が聞こえてきて、ソフィアは彼らの前に踏みだした。ソフィアをじろりと上から下に見たマルフォイはふっと鼻で笑った。「一体誰かな?」と気取った風に聞かれる。

「普通は先に名乗るのが礼儀だけどね。ソフィア・アスターよ」

「なんだ、アスター家の奴か。ポッター、お前の周りはウィーズリーにアスター、血を裏切る者ばかりじゃないか」

 ソフィアはため息をつきながら、マルフォイを見た。ソフィアの方が身長が高いのに、態度だけはマルフォイの方が何倍も大きい。

「私の友人に随分と失礼なことを言っているんじゃないの? あなた個人にとやかく言うつもりはなかったけど、祖先の威を借りるなら、あなた達がシャフィクの援助で盛り返せたことも忘れないで頂戴」

 レティが青い瞳を鋭く細め、マルフォイを見た。にたりと緩やかに微笑む姿はまるで捕食者のようだとソフィアは思った。ギリアンも同じことを思ってるのか、半歩引いている。同じ聖二十八一族であるシャフィク家には強く言えないのか、それともレティの迫力に押し負けたのか(マルフォイの怯えぶりからして、恐らく後者である。)マルフォイはぐっと言葉に詰まった。


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