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▼ 組み分けの儀式2

 マクゴナガルが長い羊皮紙の巻き髪を手にして前に進み出た。

「ABC順に名前を呼ばれたら、帽子をかぶって椅子に座り、組分けを受けてください。アボット・ハンナ!」

 一人目の名前が呼ばれた、金髪のおさげの少女が慌てて転がり出るように前へ進み出た。ほほは紅潮して傍目から見ても緊張しているのは明らかだった。椅子に座り、帽子をかぶると目が隠れてしまった。

「ハッフルパフ!」

 一瞬の沈黙ののち、帽子は高らかに叫んだ。周りの皆と歓声をあげながらこちらへやってくるハンナに歓迎の拍手を送った。セドリックに手を振られて顔を僅かだがより赤くしたのをソフィアは見逃さなかった。

「プリンス・ハッフルパフに手を振られたら女の子は目がハートになるよな」

 呆れたようにつぶやいたギリアンは、流石だなとセドリックの肩を叩いた。「プリンス・ハッフルパフって何だよ」とセドリックが照れ隠しに怒っている。確かに、その呼び名は今のセドリックにぴったりかもしれない。三年生になったセドリックは背が伸びたせいか、格好良さが増したとソフィアは思った。

「ボーンズ・スーザン!」

「ハッフルパフ!」

 次に呼ばれた子もまたハッフルパフだった。

「今年もハッフルパフが多めかな、仲間が増えるのは嬉しいけどね」

 次のブート・テリーがレイブンクローに組み分けされたことを見届けたセドリックが組分け帽子を見ながらソフィアに囁いた。この寮はヘルガ・ハッフルパフのどんな生徒も受け入れるという信念のもと、他の寮より多めに人が入りやすい。加えて寮杯争奪戦で連戦連敗が原因で、才能がない落ちこぼれの集まる寮だと噂されている。セドリックがハッフルパフにいる時点でそんな噂はデタラメだと分かるが、悪意のある噂話は中々収まらないものだった。

「また今年もやるのかしらね?」

「何を?」

「ハッフルパフがいかに素晴らしいかっていう歴代監督生によるスピーチよ!」

 ソフィアがくすくすと笑えばセドリックもそうじゃないかなとにっこり笑った。ハッフルパフに入った子たちは、例年一人は落ちこぼれだと落胆して入ってくる子がいる。ソフィアもその一人であったのだが、どうやら過去の自分のことは棚に上げたらしい。セドリックは指摘せずにそうだねと同意して笑った。二人が笑っている間に、フィンチ=フレッチリー・ジャスティンがハッフルパフに組み分けされた。

「みんなハッフルパフだったんだね! 入れて嬉しいよ、これからよろしく」

 ジャスティンはにっこりと笑って、セドリックたちに挨拶をしてから奥の空いている席へ座った。席に着いてからもソフィア達へと手を振っており、はしゃいでいることが見て取れた。その後も次々に組分けされている。フィネガン・シェーマスなんて一分間も組分けに時間がかかっていた。あんなに悩まれるのだからハッフルパフに間違いないとソフィアはレティ達と囁き声で話していたが、彼はグリフィンドールへ組み分けされた。

「ポッター・ハリー!」

 ハリーが名前を呼ばれると前へ進み出た。広間中がシーンと組分け帽子の歌を聴く前のように静かになった。

「ポッターって、そう言った?」

「あのハリー・ポッターなの?」

 隣のスリザリンのテーブルから囁くような声が上がったが、静かな大広間にはよく響いた。これではハリーも緊張するだろうとソフィアは彼らの好奇の視線とは違い同情の眼差しを送った。

「グリフィンドール!」

 静寂を切り裂くように声が響き渡った。ハリーも少し時間がかかったが、帽子はグリフィンドールと高らかに叫んだ。グリフィンドールではお祭り騒ぎだ。割れるような拍手がグリフィンドールのテーブルから湧き上がり、双子の「ポッターを取った! ポッターを取った!」という歓声が聞こえて来る。

 ハリーはハッフルパフに来てほしかったとため息をつくと、レティが「あのハリー・ポッターよ?どう考えても勇猛果敢な騎士道がピッタリでしょうよ」と肩をすくめた。それでも、彼女も少し残念そうに見えた。


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