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▼ 組み分けの儀式1

 ソフィア達がホグワーツに通ってもう二年は経っているが、何度見てもホグワーツの大広間は圧巻だった。特に晴れた夜の日は、何千というろうそくと数多の星が、四つの長テーブルを照らす。雲ひとつない、塗りつぶしたような黒い空に星が爛々と輝いている。まるで夜空の下でガーデンパーティーをしているようだった。

 上座を正面に見て一番左側がハッフルパフの机だ。反対のテーブルにはウィーズリー家を含んだグリフィンドール生が着席している。ハッフルパフとグリフィンドールの間には、ハッフルパフの近くから順にスリザリン、レイブンクローと並んでいる。

 キラキラ輝く金色のお皿とゴブレットを見つめるマルタの腹がゴロゴロと鳴って主張した。それにレティとギリアンが大笑いしていると、全員着席が終わったのか大広間の扉が開いた。マクゴナガルを先頭に一年生が一列になって上座のテーブルの前へと歩いていく。レイブンクローとスリザリンの間を通るのではっきりとは見えなかったが、明らかに目立つ赤毛のロンだけは識別できた。

「ロン、ハッフルパフに来てくれないかしら」

「あの家の奴はどうせグリフィンドールだろ」

 ソフィアの願いにギリアンが最もな答えを言った。ソフィアが一年生の時、いくら祈っても、フレッドとジョージもハッフルパフではなくグリフィンドールに行ってしまった。

「コンプレックスを抱えた子が来ないといいけど」レティが暇そうに頬杖をついて言った。

 ソフィアはぎくりと肩を跳ねさせた。今となってはハッフルパフは自慢の寮だが、当時のソフィアは組分けコンプレックスとでもいうべきか、グリフィンドールに組分けされなかった自分を恥じていた。「まるでスリザリンに行きたがる純血主義者ね」とトンクスに厳しくも正しい一言を言われなければ、ソフィアは自分の無礼さに気付けなかっただろう。こんなに歓迎してくれる上級生と優しい同級生がいるのに、「グリフィンドールに入りたかった」とずっとウジウジしていたのだから!

「静かに」

 セドリックが前の方を指差したのでそちらを見れば、マクゴナガルは一年生をこちらに顔を向ける形で並ばせていた。上座の先生達にお尻を向けていいのだろうかとソフィアはいつも不思議に思っていた。一年生の奥に並んで座っている先生達の中で、ダンブルドアが瞳をキラキラさせて一年生を見つめている。

 四本足のスツールに、組分け帽子が置かれた。相変わらずボロボロで汚らしかったがソフィア達はこの帽子がいかに素晴らしいか知っている。気がつけば、大広間は水を打ったように静かになった。静かになるのを待っていたかのように帽子がピクピクと動き、つばのへりの破れ目がまるで口のように開いて帽子は歌い出した。歌は順に寮について語っていく。


 
 ハッフルパフに行くならば
 君は正しく忠実で
 忍耐強く真実で
 苦労を苦労と思わない


 
 ハッフルパフの番になり、ソフィア達は顔を見合わせてにっこりと笑った。自分たちの寮を褒められるのは誰だって嬉しいものだから。歌が終わり、それぞれ四つのテーブルに向かってお辞儀する帽子にあらん限りの拍手を送る。

「まさにセドリックって感じね」

「少なくとも、マルタは多分組分け帽子が間違えたんだろう」

 レティの言葉に頷いていたマルタは、ギリアンの言葉に「それを言うならソフィアでしょ!」と失礼な言葉を添えて反論した。セドリックが苦笑いしながら「組分けが始まるよ」と言わなければ、ソフィアも巻き込んだ大声の口喧嘩になっていたかもしれない。


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