immature love | ナノ


▼ 招待状2

  ソフィア は慌てて部屋を出て、先ほど登ってきたばかりの階段を転げ落ちるように降りた。廊下にかけられた絵画のお爺さんが「はしたないぞ!」と怒っている。

 「パパ! ママ! シリウスがクィディッチワールドカップに誘ってくれたわ! それにね、お家にも招待してくれるって。行ってもいい?」

ダイニングでコーヒーを飲んでいたクレアとドウェインは、ソフィアの異様な興奮ぶりに驚いてはいたが、シリウスからの手紙の内容を事前に知っていたらしく行っておいでと頷いた。

「格好いいけど、あの人はママたちと同世代のおじさんだからね?」

 クレアは眉を上げて、念のためだけどと言いつつ釘を刺した。ママ!とソフィアは非難じみた声を上げる。

「つい先日、シリウスが魔法省に来た時に闇払い局に寄ってこの提案をしてくれたんだ。実は、もともと知り合いでね」

 ドウェインは ソフィアに席に座るように促した。コーヒーも新たに淹れてくれる。 ソフィアは、熱いコーヒーに角砂糖2つとミルクをたっぷりと入れた。ドウェインとクレアはどうやらシリウスについて話してくれるらしい。

「 この事はソフィアにも話して置いたほうがいいと、クレアと話し合ったんだよ」

 ドウェインは一度会話を切って、クレアと目配せをした。若干言いづらそうな様子に、 ソフィアは思い切って会話を引き継いだ。以前、シリウスが冤罪で捕まっていた時はシリウスと親しいそぶりは見せなかったが、以前トラバースとの対戦で援軍として来てくれていた。やはり、知り合いだったのだろう。

「実は、吸魂鬼と遭遇する時に見たの。死喰い人が、お父さんとお母さんを殺す夢。その時に、パパ以外に、シリウスやマッド=アイ、ルーピンが戦っていたわ」

「辛い夢を見たね、それはきっと私が経験した過去と同じ場面だ」

 ドウェインは一瞬遠くに想いを馳せるような、痛みを耐えるような顔をした。クレアが彼の背中を優しく手でさすった。

「例のあの人と死喰い人に対抗するため、ダンブルドアが秘密同盟を――不死鳥の騎士団を結成したんだ。 ソフィア が知っている人だと、私やアルバータやマーリン、アーサー、シリウス、ルーピン、マッド=アイも参加していた」

  そこで知り合った、かつて彼は同じ目的のもと集った同志だったんだとドウェインは言った。そして、瞳を鋭くして ソフィアを見た。

「いいかい、騎士団にも敵は潜むような時代だったから ソフィアがマッキノンの血を継いでいることを知っている人は騎士団内でも限られている。知っているのはダンブルドア、マッド=アイ、アーサーだけだ。

 シリウスにも言ってはいけないよ。彼は信頼できる人だが、真実を知っている人は限られている方がいいからね」

 シリウスには、オツォだと思い込んでいた時に森の一件でバレてしまっている。 ソフィアが恐る恐る森での出来事を話せば、ドウェインは困ったように眉を下げ、眼帯に隠れていない目を優しく緩めた。

「シリウスは、 ソフィアが赤ん坊の時以外も君を守ってくれたんだね。大丈夫、知られた事は気に病む必要はない。ただ、これからも秘密には気をつけて欲しいだけだから」

  ソフィアが気にしないように、ドウェインはわざと明るい調子で言って ソフィアの頭をぐしゃぐしゃと撫でた。


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