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▼ シリウス・ブラック7

「君たちが校庭を横切り、ハグリッドの小屋に入るのを見ていた。20分後、君たちはハグリッドのところを離れ、城に戻り始めた。しかし、今度は君たちのほかに誰かが一緒だった――あいつが君たちと一緒にいて、ブラックが君たち2人を暴れ柳に引き摺り込むのを見た」

「1人だろ!」

 ロンがルーピンのセリフに怒鳴った。

「違う、2人だ。ネズミを見せてくれないか?」

 ロンは迷った末、暴れて逃げようとするスキャバーズをローブから取り出した。ルーピンはスキャバーズをじっと見つめていて、ルーピンは息を殺しているようだった。

「それはネズミじゃない――こいつは魔法使い、『動物もどき』だ。名前はピーター・ペティグリュー!」

「ピーター・ペティグリューは死んでます。12年前に、あなたが殺したはずだ」

 セドリックが杖をブラックに向けたまま冷静に言った。

「それに、動物もどきは魔法省に登録しているはずだわ。今世紀には7人しか――」

  ソフィア はセドリックに続いて発言したが、途中で言葉を切った。それでは、シリウス・ブラックはどうなる。彼は黒い大きな犬の動物もどきだった。だが、登録簿にもどこにも、ブラックが動物もどきであるなんて情報は出ていない。

「 ソフィア 、君は優秀な魔女だね。気づいたかな? 魔法省は”未登録の動物もどき”がいることを知らない。ブラックの他に、2匹の動物がホグワーツを徘徊していたことをね」

 ルーピンはそうして話し始めた。彼が噛まれ、ホグワーツに入学した経緯や、親友との出会い、ハリーの父親とブラック、ペティグリューが友情のために動物もどきになったこと、学生時代の冒険とダンブルドアへの後ろめたさ――だが、途中で話は遮られた。

 セブルス・スネイプが突然何か布のようなものを脱ぎ捨ててす柄を表した。彼は、杖をぴたりとルーピンに向けて立っていた。スネイプは少し息切れをしていたが、喜びを抑えきれない恍惚とした表情だった。

「セブルス、説明させてくれ。シリウスはハリーを殺しに来たのではない――」

 ルーピンが切羽詰まったように声を出したが、スネイプの目は今や狂気を帯びて光っていた。ブラックよりもよほど人を殺してそうだと、ソフィア は思った。

 スネイプの杖から細い紐が蛇のように吹き出て、ルーピンの口、手首、足首に巻きついた。ルーピンはバランスを崩して床に倒れ、身動きできなくなった。怒りの唸り声をあげ、ブラックがスネイプを襲おうとしたが、スネイプはブラックの眉間にまっすぐ杖を突きつけた。

「ネズミだ――ネズミを見るんだ――」

  ソフィア だけでなく、その場にいた5人は全員金縛りにあったように動けなかった。誰を信じていいのかわからなかった。ブラックがかすれた声で言う。その声は真剣味を帯びていたが、スネイプの耳には届いていないように見えた。ハリーが扉の前に飛び出して、スネイプが怒鳴り合っている。

  ソフィア はふと、オツォが森で助けてくれた場面を思い出した。愚かにも森の中に1人で立ち入った ソフィア を、オツォは身を呈して助けてくれた。そして、導くようにフィレンツェと巡り合わせてくれた。そして今も、ルーピンが ソフィア 達へ杖を返すことに反対もしなければ、すぐにでも殺せそうな状況でハリーを殺さなかった。

  ソフィア はブラックをちらりと見て、驚愕した。服装もぼろぼろで、髪の毛も汚い。スネイプへの怒りからか表情を歪ませていた。彼の顔には、表情には確かに見覚えがある。痩せた骸骨のような指名手配書ではない、どこかの記憶だ――。

 トラバースの魔法がドウェインの片目を直撃し、あわや殺されそうだった時に、颯爽と躍り出た一人の青年。長めの黒髪がちょこんと束ね、非常に整った顔立ちの青年は彼の命を助けてくれた。ルーピンもその場にいた。彼らは命がけで ソフィア の両親を――生みの親と、育ての親を、そしてまだ赤ん坊だった ソフィア 自身を守ってくれた。ブラックは、二度も ソフィア の命を助けてくれていた!

「ロックオン!」

  ソフィア が叫んだのは、咄嗟だった。深く考え込んでいれば、きっと恐ろしくてできなかったはずだ。なにせ、 ソフィア は今、スネイプに向かって投げ縄を使ったのだから!

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