immature love | ナノ


▼ シリウス・ブラック1

 O.W.L試験に飛行訓練がなくて良かったと ソフィア は心の底から思った。試験最後を飾る最後の闇の魔術に対する防衛術の筆記試験を終えた ソフィア は腕を真上に上げ大きく伸びをした。2週間に渡る試験がやっと終わったのだ、これは喜ばずにはいられない。

 終盤にかけてメイクも髪の手入れも出来ずに追い込まれていた ソフィア はボサボサの頭をどうにかしようと寮へ向かうことにした。熱いシャワーを頭から浴びて、コーヒーを飲めば今ぼやけている頭も大分スッキリするだろう。

  ソフィア は監督生用のシャワールームで、湯船に水を貯めると頭まで一気に潜った。お湯が ソフィア の身体中を包み込み、なんだかゆったりとした気持ちになる。耳の中に入る前にと頭を出し、 ソフィア は先日のフィレンツェとの会話に想いを馳せた。

 フィレンツェの言葉を ソフィア なりに解釈すれば、恐らく予知夢にも様々な種類がある。予知夢自体のものというよりかは、見え方に違いがあることを表していたのであれば、先日の ソフィア が悩んでいた部分にも当たるだろう。

 これでは全く答えになっていない。 ソフィア が見る夢すべて、どれもが予知夢である可能性があるということが分かっただけでも大きな収穫には違いないのだが、特定人物の未来を占う方法や予知夢か否か見分けるコツを聞けると思っていた ソフィア にとってはあまり状況は進展した気がしない。

 シャワールームから出た途端、試験終わりでハイになったのか高らかに歌うマルタとそれにノリノリで杖で楽器のような音を響かせるギリアンに引きづられて夕食へ向かう羽目になった。

「お前まだかぼちゃのスープしか飲んでないぜ?」

  夕食もそこそこに席を立とうとした ソフィア にギリアンは目を丸めた。彼の皿の上には骨つきチキンにポークリブのグリル、ポテトが山盛りになっている。

  ソフィア だって、スープを飲んでサンドイッチだけテイクアウトするような真似はしたくなかったが、この後やらなければならないことがあるのだ。というのも、オツォの捕獲を外が暗くなる前に終えてしまいたかった。 この後夏休みに入れば ソフィア もセドリックも家に帰ることになる。生徒が誰もいない間のホグワーツにオツォを残していくのは、会ったばかりの頃のやせ細った姿が思い出されて嫌だった。

  いつから動物保護ボランティアをするようになったのか。恐らく今頃 ソフィア のべッドの上で寝こけるグリーンイグアナのせいだ。間違いない。レクシーを引き取った時から ソフィア の生き物全般へのお節介具合が悪化している。

 ソフィア はいつも餌をあげにいくときに使うバスケットの中に先日親戚から貰ったロープを入れてある。まさかアスター家の思い通りに動物捕獲に乗り出すことになるとは想像もしていなかったが、出来ることならオツォがロープなしでついてきてくれたら嬉しい。

「 ソフィア 、オツォに会いにいくの?」

「会うんじゃなくて、捕まえるのよ」

 ロープを見せれば、セドリックは一瞬目を丸めたが、 ソフィア が以前からオツォの食事を心配していたことと夏休み前ということで早々に合点がいったのか、手伝うよと言って席を立った。

prev / next

[ back to top ]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -