immature love | ナノ


▼ 森の噂2

 グリフィンドールとレイブンクローは良い試合だった。チョウは可愛いだけじゃなく、クィディッチとしても名選手だ。シーカー以外の選手も粒揃い。自分に余裕がなかったので ソフィアはあまり覚えていなかったが、休み前にあったチョウ不在のレイブンクロー戦ではハッフルパフはこてんぱんに負けたばかりだった。

 グリフィンドールに負けておらず、レイブンクローが3回連続でゴールを決めた。これでグリフィンドールとの差が50点まで縮まった。ハリーはチョウにマークされていて、一度は見つけたに思われたスニッチを見失ってしまった。

 「あ!」

  ソフィアの喉から引き絞ったような声が漏れた。吸魂鬼が3人、頭巾をかぶってゆらゆらとピッチに出て来たのだ。 ソフィアの声につられて試合から視線を話して下の様子に気づいたセドリックとレティは、 ソフィアを立たせて席を離れさせようとした。先日吸魂鬼がいた試合で気絶したのだから、 ソフィアから遠ざけようと思ったのだろう。

  ソフィアが席を立つよりも早く、ハリーが杖を取り出して何か呪文のようなものを叫んだ。白銀色の、何かものが杖の先から吹き出した。 ソフィアにはそれが、ただの雲の塊のようにも見えたし、雄々しい何か動物のようにも見えた。

 ハリーの放ったなにかで吸魂鬼は倒れ込んだ。その瞬間、ホイッスルが会場に鳴り響く。グリフィンドールの勝利で、試合は終了の合図を告げていた。

「なんだありゃ、間抜けすぎるな」

 双眼鏡でピッチを見ていたギリアンが呆れたように言った。吸魂鬼の正体は、なんとマルフォイ、クラップ、ゴイル、それにスリザリンチームのキャプテンであるマーカス・フリントだった!

 ハリーにとって吸魂鬼が最大の敵であることはホグワーツ中が知っている事実だ。( ソフィアにとっても鬼門であるが、なにせ当人の知名度が低いのでホグワーツ中に知られることはなかった。)おそらくハリーを動転させてレイブンクローに負ける要素を少しでも増やそうと画策したのだろう。

 四人とも頭巾のついた長い黒いローブを脱ごうと必死で、そこにルーピンや遠くから見ても顔を怒りで赤く染めたマクゴナガルが囲んでいた。ハリーがその様子をいち早く見に行こうと近づいているのを見て、思わず笑ってしまった。ハリーのマルフォイ嫌いも筋金入りだ、野次馬根性がすごい。今回の間抜けな姿を視界に収めたかったのだろう。

 パーシーが「10ガリオンだ!」と叫びながらピッチに降りて行くのを見送った。彼は賭けでもしてたのだろうか。しかし、ウィーズリー家の子供たちの財布は――失礼ではあるが――それぞれひっくり返しても10ガリオンなんて出てこないのではないかと ソフィアはぼんやり思った。

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