immature love | ナノ


▼ 親友1

「ごめんなさい、私今日はあっちでご飯食べるわ」

  ソフィアは朝、玄関ホールを抜けて広間へ入ったところでセドリックやレティ達に断りを入れた。あっちと言いながら指したのはグリフィンドールの席で、フレッドやジョージが ソフィアを見て手を振っている。近くに座っていたハリーたちも笑顔を浮かべて ソフィアが座れるように席を詰めてくれていた。

「今日”は”じゃなくて今日”も”の間違いでしょ。最近あなた変よ、グリフィンドール生にでもなったの?」

 レティが ソフィアのローブを掴み、引き止めた。 ソフィアが困ったように唸っていると(オツォがお風呂に連れて行かれそうになった時の唸り声とそっくりだった)、セドリックがやんわりと間に入った。

「 ソフィアはフレッドの恋人なんだから、食事を向こうでとってもおかしくないよ。レティ、早く席に行かないとプディングが売り切れるよ」

 セドリックがレティを ソフィアから引き剥がし、ハッフルパフのテーブルへ導いていく。振り向きざまに、少し眉を下げて ソフィアに微笑みかけた。

  ソフィアは先日のフレッドの地図による監視発覚事件から、分かりやすくセドリックを避けていたし、フレッドにべったりだった。フレッドを心配にさせたく無いという思いもあったのだが、セドリックのことも異性として見ていたのでは無いかと自分の中で生まれた疑念に向き合うのが嫌で、極端に避けていたとも言える。

 レティも彼女の異変に気づいて当然だった、態度があからさま過ぎたもので。レティがひとり離脱して ソフィアのもとへかけてくる。

「夜くらい、私たちと食べるんでしょうね」

 レティがギラギラとまるでレッドゴブリンのように目を光らせてやって来た。 ソフィアはセドリックとギリアンをちらりと視界に収め、首を振った。

「夜、フレッドたちと食べる約束してるのよ……私たちの部屋で話すから」

 眉を下げて申し訳なさそうに言う ソフィアに、レティははぁーっと大きなため息をつくと、分かったわと頷いて踵を返した。

「 おはよう」

 グリフィンドールのテーブルへ来た ソフィアに、フレッドはご機嫌に立ち上がって両ほほにキスをすると隣の席へ座らせた。「おはよ」と曖昧に微笑みながら ソフィアは周りにも挨拶をし、フレッドがとっておいてくれたシリアル――親切にも、 ソフィア好みの大量の砂糖が既にふりかけられていた――を一口すくった。

 フレッドは、 ソフィアがセドリックと距離を置いてからみるみる機嫌を良くしていた。今もご機嫌に ソフィアにフルーツを盛った皿を差し出してくれている。

「今日のホグズミード、マダム・パディフットの店に行こうぜ。実は予約したんだ」

 楽しそうに笑いながらフレッドが言う。 ソフィア はフレッドの発言に驚いて口の中に入れたシリアルの牛乳をそのままこぼした。間抜け極まりない姿はフレッドにはどうやら見られずに済んだようだが、正面にいたハリーにはばっちりと見られたらしい。そっと紙ナプキンを渡された。

 マダム・パディフットの店とは!  ソフィアはまだ驚きから回復できていなかったが、なんとか紙ナプキンで口元をふくことには成功した。自分が戻した牛乳が入っているのを知っていたため、 ソフィアはシリアルの入った深皿を遠くへ押しやりフルーツ皿に手を出した。

「あなた、前に見たときは嫌がってたじゃない。食べ物なら三本の箒でも美味しいわよ?」

 訝しげな ソフィアの視線に、フレッドは顔をみるみる赤くした。

「……君が行きたいって言ってたから」

 ウィンクをしてくれたが、フレッドの顔はいまや自慢の赤毛以上に赤かったので格好つかなかった。フレッドの優しさが嬉しくて、罪悪感を飲み込んで、 ソフィアは彼にお礼のキスを贈った。

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