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▼ ハロウィーンの夜4

 ハッフルパフより先にスリザリン生がいるのは納得がいくが、グリフィンドール生が全員揃っていたのは予想外だった。場所こそ公開してないが、彼らの塔は大広間から遠いことをソフィアは2年前から知っている。

 フレッドが近寄ってくる。耳を傾ければ、どうやらグリフィンドールにシリウス・ブラックが侵入しようとしたらしい。恐ろしい事実に ソフィアは手で口を覆った。

「あなたは大丈夫だった?」

「ああ、俺らがいない宴会の時間に起きたみたいなんだ」

 フレッドが深刻そうに首を振った。 ソフィアの頬に手を添えて、手がゆっくりと首の後ろまで回っていく。優しく揉むように首の裏を触られた。そのまま引き寄せられて、逆らうことなくフレッドの胸元にいく。

「一人で行動しないでくれよ、去年みたいな思いはしたくないんだ」

「私は大丈夫よ」

 フレッドの言葉に ソフィアは囁き返す。マクゴナガル先生とフリットウィック先生が大広間の扉という扉を全て閉め切っているのを横目に見る。事態はきっと、想像通りもしくは想像以上に深刻だ。あの殺人鬼がこのホグワーツにいるなんて信じられない…… ソフィアはぶるりと背筋が寒くなるような気がした。

「先生たち全員で、城の中をくまなく捜索せねばならん。ということは、気の毒じゃが、皆、今夜はここに泊まることになろうの。皆の安全のためじゃ。監督生は大広間の入り口の見張りに立ってもらおう。首席のふたりに、ここの指揮を任せようぞ。何か不審なことがあれば、直ちにわしに知らせるように」

 厳しくふんぞり返ったパーシーに向かって、最後に一言ダンブルドアは付け加えた。

「ゴーストをわしへの伝令に使うがよい」

 そうしてダンブルドアは大広間から出て行こうとしたがふと立ち止まってはらりと杖を軽く振った。長いテーブルが一斉に全部大広間の壁際に飛んで行き整列する。大きな空間が出来た。

 ダンブルドアがもう一振りすると、何百個ものふかふかした紫色の寝袋が現れて、床いっぱいに敷き詰められた。ぐっすりおやすみと言い残して、ダンブルドアは大広間を出て言った。瞬間、大広間中がガヤガヤとうるさくなった。フレッドのようにグリフィンドール生が他の寮生に事件の話を始めた。パーシーが大声でみんなを寝袋に誘導しようと叫んでいる。

 フレッドが渋ったが言い聞かせて ソフィアは入り口の方へ向かった。そこでは少し心配そうな顔をしたセドリックがいた。励ますように腕を叩けば、セドリックは面白そうに少し笑った。パーシーが消灯だと叫ぶと、蝋燭の灯が一斉に消えた。

 最初の見張りはハッフルパフだった。セドリックと一緒に大広間の入り口に立つ。まさかこの厳戒態勢の中くるとは思えないが、もしハリーを狙っているのだとしたら可能性は0とは言い切れない。 ソフィアは珍しく夜になっても目が冴えていることを自覚した。

 シリウス・ブラックがどこかにいる。この城のどこかに。
 例のあの人の1番の僕が、確かに、ここホグワーツの敷地へ足を踏み入れたのだ。


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