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▼ まね妖怪4

  ソフィアとフレッドは早足でDADAの教室へ向かったが、先生はまだ来ていなかった。ジョージはもう席についていて、リーやアンジェリーナと話している。フレッドはそっちで受けるのだろうか。 ソフィアは疑問に思いながらチラリとフレッドを見ると、頭をハッフルパフ生が多くいる方へ傾けた。

「あっちで受けるだろ?」

「うん、そうしたいわ」

「なら、決まりだな」

 この辺りが良いなんて陽気に鼻歌を歌いながらフレッドはハッフルパフが多くいる廊下側の席の1番後ろを陣取った。その隣に教科書を置きながら ソフィアは前にいるセドリックたちへ軽く手を挙げた。

「お熱いね」

 ギリアンが鬱陶しいと言いたげに目をぐるりと回した。フレッドはそれに直接何か言うわけでもなく、 ソフィアの方へ椅子を引き、方に腕を回すことで答えた。眉を上下させてギリアンを見ている。ギリアンはあっち行けと言いたげに手を振った。

「 ソフィア、今日の夜はハッフルパフが見回りだって昼にスプラウト先生が言ってたよ」

 セドリックが上半身だけ振り返り、 ソフィアに話しかけた。 ソフィアの肩に置かれていたフレッドの腕がわずかにこわばったのを感じたが、 ソフィアはそれを無視してセドリックに応える。フレッドのセドリックに対するライバル意識は過剰だと1年生の頃から思っていた。

「そうなの? 夜の校内を堂々と探索できるなんて、ちょっと楽しみだわ」

「そうだね」

 セドリックもにこりと微笑んで ソフィアに同意した。フレッドが頭を傾け ソフィアの耳に口を寄せる。「シリウス・ブラックに遭わないといいな」 ソフィアはフレッドの脇腹を肘で小突いた。見せつけるようなフレッドの行動にセドリックは一瞬眉を上げたが、丁度ルーピン先生が入って来たので前を向いた。

「やあ、みんな。早速だけど教科書はカバンにしまって貰えるかな。みんなOWLで身構えてるかもしれないけど、折角の初回の授業だから肩慣らしに実地練習をしよう。杖だけ持ってついておいで」

 なんだろう、面白そうだと皆がやがや話しながらルーピン先生に従って教室を出た。誰もいない廊下を通り、角を曲がる。二つ目の廊下を渡り、職員室のドアの前で立ち止まった。ドアを開けて一歩下がり、生徒に入るように促した。

  ソフィア が職員室に入ったのは初めてだった。隣にいるフレッドは勝手知ったる場所だとでも言いたげで、物珍しげに周りを見回すこともない。彼が罰則で職員室やフィルチの管理人室にしょっちゅう出入りしているのはホグワーツの全生徒が知っていた。

 板壁の奥行きがある部屋だった。統一性がない古い椅子がたくさん置いてある。がらんとした部屋には誰もいない。部屋の奥まで進むと先生方の着替えのローブを入れる洋箪笥がポツンとそこに置かれていた。なんだかちぐはぐだった。

 箪笥の方へルーピン先生が歩み寄ると、箪笥はガタガタと揺れて飛び跳ねた。自然と ソフィアの方も飛び跳ねる。ギリアンが少し跳んだように見えたことを ソフィアは見逃さなかった。


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