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▼ まね妖怪3

 フレッドと一緒に芝生の上に寝そべる。木の陰が、風とともに揺れて、日差しがちらちらと ソフィアを照らした。フレッドの胸元に頭を寄せ、目を瞑る。 ソフィアの頭上に置かれたフレッドの腕は放り出されていたが、 ソフィアの髪に指を差し込んで優しく撫でた。

 フレッドが優しく宝物に触れるように ソフィアの髪を梳く度に、ゾクゾクとした言い知れない感覚に襲われた。リラックスするはずなのに、むず痒さに襲われる。 ソフィアは思わずそっと薄眼を開けて頭上の方にあるフレッドの様子を伺ったが、後悔した。

 フレッドが目を蕩けさせて此方に顔を向けている。薄眼を開けた ソフィアに気づいたのかくすくす笑っている。その姿がまるで恋人のようで――実際に恋人だが―― ソフィアは恥ずかしさで一気に顔中に血が集まる感覚がした。

「そろそろ授業?」

「そうかもな」

「遅れちゃうわよ」

「このままサボって一緒にいたい」

 フレッドがごろりと横に転がって、横向きに寝転がった。 ソフィアを撫でていた手は、フレッドの頬にある。頬杖をついて、寝そべっている ソフィアを見下ろした。

「絶対だめよ、それはあり得ない」

  ソフィアが急に目を見開いて、眉間にしわを寄せながら言うのでフレッドは堪らず笑った。

「さすが監督生は厳しいんだな」

「当たり前のことよ」

  ソフィアが体を起こそうとすると、フレッドはまるで犬に「待て」をするように ソフィア の前に手を出した。訝しげに目を眇め、 ソフィアが寝たまま首をかしげる。

「あと少しだけ」

 フレッドがまるでお強請りするようにそう言うと、腕を ソフィアの頭の下に滑り込ませた。必然的に腕枕のような形になって ソフィアは顔を赤くする。フレッドの距離がさっきよりも断然近く感じられた。

「ハッフルパフの監督生は、もう一人はディゴリーなんだろ?」

 耳元で囁かれた声が ソフィアの脳内に直接響いているようだった。どこか、嫉妬をにじませた声に ソフィアはくすくす笑う。

「勿論そうよ。悔しいならあなたも監督生になれば良かったのに」

「君と見回りにいけないんじゃ意味ない」

 フレッドは不貞腐れたのか唇を少し尖らせながら呻いた。その様子が可愛くて、 ソフィアがますます笑うものだからフレッドは眉間にしわを寄せる。

「セドは私の親友よ。フレッド、あなたが心配するようなものじゃないって十分分かってるでしょ?」

「あいつは――……そうだな」

 フレッドは諦めたようなため息を吐く。もう行こうぜと言って ソフィアが起き上がるように促した。気がつけば湖にはオオイカが水面でゆらゆら揺れている。きっとイカも太陽の日差しが恋しかったのかもしれない、 ソフィアは辺りをぐるりと見まわしながらにっこりと笑った。このあとも授業でフレッドと一緒にいれるなんてまさに夢のようだ。

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