immature love | ナノ


▼ まね妖怪2

 闇の魔術に対する防衛術の最初の授業へ行くのに、 ソフィアはフレッドと大広間で一緒にランチを食べてから行くことにした。前の授業が魔法薬学だったので、 ソフィアは自分が変な臭い――例えば、カエルの卵を煮詰めた臭いとか――がしないか自分のローブに鼻をつけてクンクンと嗅いでいるので、レティは呆れたように目をぐるりと回した。

「ウィーズリーなんていつもクソ爆弾の臭いを漂わせてるんだから、気にする必要ないわよ」

「ちょっと! フレッドはなんだか甘い香りがするのよ」

「そんな事あんまり知りたく無かったわね」

 レティが呆れたように手を振る。ハッフルパフのテーブルはギリアンとマルタ、セドリックが既に席についていた。 ソフィアはレティに別れを告げ、セドリックたちに手を振ってから反対側のグリフィンドールのテーブルへ向かう。

 テーブルには、フレッドが珍しく一人で座っていた。彼の前には皿の代わりにバスケットが置かれている。 ソフィアが首を傾げていると、彼女に気づいたフレッドが立ち上がってバスケットを片手に近寄ってくる。

「今日は珍しく雲ひとつない快晴なんだ。外で食べれるようにしもべ妖精に頼んだんだよ」

「本当に? バスケットの隙間から見えるバタービールの瓶も?」

  ソフィアの質問にフレッドは楽しそうにウィンクする。

「真面目な ソフィアちゃんはそう思ってる方が気楽だろ」

 フレッドが片手にバスケットを、片手に ソフィアの手を握って歩き出す。視線が集まっているのが分かり気恥ずかしさから ソフィア は下を見る。だが、フレッドと人前で手を繋ぐのも不思議と嫌では無かった。

 大広間から玄関ホールに出て、大きな扉から外へと出る。芝生は青々としていて、太陽に当たって微かな煌めきを放っている。たまに生えている花が風に吹かれて、優しくゆらゆら揺れている。

「さっきの授業はなんだったの?」

「変身術さ、マクゴナガルは今年は一段とヤバイな。OWLのことばっか言ってるんだ。皆さんの将来がかかった大事な――ってな」

「ふふ、スネイプでさえ煩かったわよ。課題もたんまり。今年は、図書館か談話室にこもりきりね」

「おいおい、そんなつまんない事言うなよ! 勉強漬けで1年越すなんてパースか何かか?」

「何言ってるの? 将来にとって重要なんだから!」

「マクゴナガルと同じ事言ってる」

 フレッドが目をぐるりと回した。話をやめる合図とばかりに、ここら辺で食べようぜと切り出す。大きなクヌギの木が生えた木陰の中だ、湖の近く、少し小高い芝生の山の上だった。ピクニックには最適だろう。

 フレッドとの試験に対する考え方の違いにむっすりと頬を膨らませていた ソフィアも思わずにっこりと笑った。フレッドが冷たく冷えたバタービールの瓶を ソフィアの頬にくっ付けてくるのだから、機嫌を直さない方が無理な話だろう。

prev / next

[ back to top ]



「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -