▼ 漏れ鍋4
ジョージが君らと行動するくらいならシリウス・ブラックとデートするねと笑えないジョークを言ったおかげもあって、 ソフィアとフレッドは最終日を一緒にデートすることができた。
フレッドと一緒に手を繋ぎながら歩くだけで、ここ数週間見飽きたと思えるようなダイアゴン横丁も輝いて見える。 ソフィアはフレッドと一緒にいたずら専門店に行ったり、アイスクリームを食べたりして過ごした。
ソフィアたちは途中でハリーたち3人を見かけたが、ハーマイオニーはお世辞にも可愛いとは言えない猫を大切そうに抱っこしていて、ロンがまるでスキャバースをかばうように抱きしめながら抗議していた。
「フレッドとジョージは、ペットとか欲しく無いの?」
「別に、騒がしいのは間に合ってるしな」
フレッドは余り興味なさそうに首をすくめた。それより……と嫌そうに続ける。
「母さんったら、俺たちが監督生に選ばれなかったからってご機嫌斜めなんだ」
これ以上監督生を出す不名誉を被らずに済んだのになとフレッドが悪戯に笑うので、 ソフィアは気まずさからあははと平坦な笑い声しかもれなかった。それを訝しんだフレッドは ソフィアの正面に回り込むと目を細めた。
「まさか、 ソフィア……」
「白状するわ、私も今年監督生に選ばれたの。彼女が監督生の真面目ちゃんじゃ嫌?」
まさか嫌とは言わないだろうが恐る恐る不安を口にすればフレッドは目をキョトンとさせた後大きく笑った。
「まさか! 秀才の彼女なんて、最高だろ?」
にこりと笑うフレッドにつられて ソフィアも笑う。もう一度隣に並んで手をつないだところで、フレッドが思い出したように「あ」と言葉を漏らした。どうしたのか聞けば、至極真面目な顔をしている。
「俺とデートする時にPバッジなんて着けてこないでくれよ?」
今はしてないよなと怪しんでつないだ手を持ち上げ ソフィアをその場で1回転させるので ソフィアは堪らずくすくすと笑う。
「やだわ、パースじゃないんだから。それとも、私よりバッジとデートしたい?」
「正直なところそうだね……」
真面目な顔をして眉を寄せながら深刻そうに言うのだから堪らない。 ソフィアとフレッドはふざけたように道の真ん中で笑いながら、次はどこに行こうかとぶらぶら歩き始めた。
フレッドの話では、今日の夕食は、驚いたことにウィーズリー一家とハリー、ハーマイオニーと漏れ鍋でフルコースを食べることになっているらしい。こんな素敵な夕食は夏休みの最後を飾るのに相応しい! ソフィアは時間がまだあるにも関わらず漏れ鍋へ帰ろうとするので、フレッドは宥めなくてはいけなくなった。
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