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▼ 漏れ鍋3

 漏れ鍋の滞在はこれまでの中で最高のものになった。 ソフィアは起きたらすぐ隣の部屋をノックし、まだ寝ぼけ眼のハリーを連れ出して漏れ鍋で朝食をとった。1日中一緒に行動しているわけでもなかったが、朝食と夕食は必ず一緒に摂るようにしてその日あった面白い話をした。

 たまにカフェテラスでハリーの変身術や魔法史のレポートを手伝いながら自身のレポート(なんと魔法薬学は羊皮紙2巻分書かなくてはいけなかった)をこなしていた。

 1週間も経ったところで、ハリーが高級クィディッチ用具店に現れたファイアボルトに夢中になるまでは、 ソフィアはダイアゴン横丁の様々な店にハリーを連れ回すように案内し一緒に過ごした。

 ハリーはこの夏で10センチ以上伸びたようだったが、用具店のファイアボルトを毎日通い詰めてショーウィンドウにへばりつく姿はまるで1年生のようだと ソフィアは思った。

  ソフィアはといえば、書店のショーウィンドウにある大きな鉄の檻で行われているすさまじいレスリングの試合を暇つぶしに見ることが多かった。怪物的な怪物の本は、ほんとは思えないほど戦闘的な性格で本のページも檻の中でそこらじゅうに散らばっていた。

 ハリーに聞けば、今年の魔法生物飼育学の指定教科書らしい。ついにケトルバーン先生はトチ狂ってしまったのかもしれない。 ソフィアは今年セドリックやギリアンたちが死にませんようにと祈った。セドリックといえば、「僕も監督生とクィディッチのキャプテン両方になったよ」という手紙が送られてきていた。監督生とクィディッチのキャプテンに選ばれたのは喜ばしいが、これでは幾らセドリックでも倒れてしまうくらいハードワークだ。ソフィアは急いで「無理はしないように」と念押しした手紙をしたためた。

 ハリーと夕食を食べていた時に、死の予兆であるグリムを見たと深刻な顔をしてハリーが ソフィアに告げた。 ソフィアは、トレローニーの授業の先輩として「トレローニーにかかれば全てが死の予兆だから、犬なんて気にしなくていいわ」と励ましになるのかよくわからない励ましをした。

 ハリーと過ごす夏休みは最高に楽しかった。 ソフィアがハリーの大ファンなことも要因だろう。宿題を見てやったり、相談に乗ったり、一緒に家から持ってきたゴブストーンをやったり、レティやマルタと食べるはずだったお菓子でお菓子パーティーをしたり……まるで弟ができたような気分だった。

 夏休み最後の日、まだ眠っている早朝に(鍵は昨日の夜きちんと閉めたはずだが)扉がバーンと開いた。 ソフィアはシリウス・ブラックが逃げ込んできたのかと思い悲鳴をあげたが、慌てたような声に聞き覚えがあり、部屋の明かりをつけるとなんと双子のウィーズリー兄弟がいるでは無いか。

「「やあ、 ソフィア」」

 双子が意気揚々と近づいてきて ソフィアを無理やり起こした。

「ちょっと! いきなり寝てるレディの部屋に入って来るなんてどういうつもりなの!」

「レディ? そんなのこの辺りにいたか?」 フレッドが言った。

「いたさ、多分フランスあたりにね」 ジョージが言った。

  ソフィアは双子の言葉に顔を真っ赤にして「出てって!」と叫んでクソ爆弾を投げつけた。これまた最悪なことに、双子は避けて部屋を退散したが、爆弾が部屋の中で炸裂してしまった。あたり一面広がる腐った牛乳のような香りに ソフィアは朝から青い顔をした。


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