immature love | ナノ


▼ 漏れ鍋1

 漏れ鍋に着いたソフィアはトムに荷物を任せ、早速ダイアゴン横丁へ行くことにした。部屋はどうやら12号室を取ってくれたらしい。南向きでとても温かみのある部屋だから ソフィアは気に入っている。番号を聞いただけで気に入りの部屋かそうでないか分かるのだから、 ソフィアは漏れ鍋の常連だった。

 レティとマルタは昼過ぎに来るという連絡をトムから聞いているので、 ソフィアはカフェ・テラスのパラソルの下でゆっくり早めの昼ごはんを取ることにした。珈琲の香りを鼻腔いっぱいに吸い込み、BLTサンドを食べる。少し背伸びしたオシャレなランチは ソフィアの気持ちを盛り上げる。

 カフェを出て、道なりに行けば一際大きな白い建物がある。グリンゴッツ銀行だ。 ソフィアは、今までグリンゴッツの金庫を渡されていなかったが(「 ソフィア、あなたに鍵を渡してしまったら金庫が空になってしまうでしょう?」)今年からはもう5年生なのだからと ソフィア用の口座をクレアとドウェインが作ってくれた。

 うねるようなトロッコに乗り、気持ち悪い気分になりながらその金庫を開けるとチョコンとガリオン金貨の小さな山がある。今年1年分のお小遣いらしい。前借りで貰っているに過ぎないのだが、 ソフィアは少しだけ大人に近づいたような気持ちで顔に喜色を浮かべた。

  ソフィア は皮袋にガリオン金貨を半分ほど詰め、残りは貯金することにした。どうせホグワーツにいる間は ソフィアはお金を使う機会なんて殆ど無い。もし全部持ち出せば、ダイアゴン横丁に滞在する間だけで全部使ってしまいかねないだろう。

 再びガタガタと揺れる割りに猛スピードで移動するトロッコに乗り込み、地上の明るさに目を細めた時、 ソフィアはちょうど太陽が真上にあることに気がついた。希望を胸に漏れ鍋へ向かえば、テーブルに座っているレティとマルタがいた。

「Hola」

 もう恒例となった再会の挨拶をした ソフィアら3人は一緒に外へ出る。ひとまず教科書リストにあるものを揃えるのと、マダムマルキンの店でローブを新調することにした。 ソフィアの身長が止まるのもそろそろだろう、測ったが身長は1センチしか伸びていなかった。

 マルタがなぜかマントの店で毎日の気分で色が変わるマントを買いたがるのでレティはそれを止めなくてはならなかった。ホグワーツで着れるのはローブだけだし、マグルの世界に住んでいるマルタが一体いつそのマントを着るつもりなのか ソフィアは首を傾げた。

  ソフィアたちが買い物も終え、フローリアン・フォーテスキュー・アイスクリーム・パーラーでアイスを食べ終えた頃には日も暮れていて、 漏れ鍋に戻り夕食をとることにした。

 前菜がわりに出てきた豆のスープを飲みながら、マダムマルキンの店に入っていたローブが可愛いだの話していたところで、知らない男が新聞を片手に漏れ鍋へ飛び込んできた。

「大変だ! ブラックが……シリウス・ブラックが、アズカバンを脱獄した!」


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